【千葉県】【秘境】麻綿原天拝園~2万株のアジサイが生む絶景

【千葉県】【秘境】麻綿原天拝園~2万株のアジサイが生む絶景
 

麻棉原

 

恐らく初見でこの地名を読める人はいないだろう。

 

この場所には知る人ぞ知る、紫陽花の隠れた絶景名所がある。

 

読めない地名、麻綿原

楽園の名は麻綿原天拝園、「まめんばら」という一風変わった地名の場所だ。

 

大多喜町にあり、関東随一の紫陽花名所として密かな人気を呼んでいる。大多喜町から鴨川市を跨いで存在する高原で標高は約340m。平地と比べると気温差がある為、一般的な紫陽花の開花よりも若干遅く、7月上旬から下旬にかけてが見頃となっている。

 

その為、平地で紫陽花を見るなら梅雨の時期のジメジメした時期でなければいけないが、天拝園なら梅雨明けの7月に快晴の中観賞する、なんてことも出来るのだ。

 

県立養老渓谷奥清澄自然公園の一部でもあり、養老渓谷と清澄寺からのハイキングコースも備わっている為、秘境の中を静かに散歩したいという方にもおすすめだ。

 

見渡す限り紫陽花、あじさい、アジサイ

園内の紫陽花は総数なんと2万株!とんでもない数である。高原一帯に咲き乱れる紫陽花の様は壮観という他あるまい。まさに紫陽花の楽園と呼ぶに相応しい場所だろう。

 

夏季には雲海が楽しめるということでも知られている他、「日本で一番早い初日の出」が見られると謳う看板が天拝園には立てられていた。初日の出というと山頂や離島を除き、日本では千葉の犬吠埼が有名だが、麻棉原でも見られるというのは初耳だ。

 

法華経の文字数を目指し植え続ける

天拝園と名付けられた妙法生寺境内を中心に1951年、住職である箕輪日受師が棄てられていた廃寺を建て直し、紫陽花を植え始めたのがことの始まりである。紫陽花は法華経の文字数6万9384字を目標に今なお植え続けられているのだ。ちなみになぜ法華経なのかというと、建長5年(1253年)に日蓮上人が初めてこの麻棉原で「南無妙法蓮華経」という題目を唱えており、それにちなんだものだと思われる。

 

紫陽花の品種は和種というものに該当し、色味が白から青へと変わっていく。一見シンプルにも思えるが、そんなことは些末な問題であり、天拝園を訪れれば見渡す限りの花々に言葉を失ってしまうに違いない。

 

 

アクセスは非常にめんどい

麻棉原天拝園に来る方法は大きく分けて2種類あり、首都圏側からなら館山自動車道の富津中央を降りて国道465号線を東に進み、筒森地区から町道老津線を南下するルートと、鴨川側からなら千葉県道285号線から林道奥谷線を北上するルート、なのだが、紫陽花の咲く時期は実質1ルートのみに限られる。

 

これが町道老津線だ。

 

この日は車両感覚を磨く為、あえて日の出ていない時間帯を選んだ。霧がかかっていた上に雨も降っていたので視界と路面状態は最悪である。幅員は精々2mで場所によってはそれ以下のこともある。町道というよりもはや村道か林道である(笑)

 

崖のすぐ横を通る道なので落石や法面崩落といったことも起こり得る。更には無数の落ち葉や枝の散乱に加え、動物も当然飛び出して来る。この道路で見たのは鹿をはじめ、猫やなんかもいた。特に猿は集団で襲われたらひとたまりもないので、見かけた時は車から降りずに静かに通り過ぎるのが最善だ。

 

がっつりなくなっております

 

実際に一度崩落により通行止めになっているのを目撃している。「地図にない村」で知られる横瀬地区のすぐ近くに架かる橋が大雨の影響で崩落していたのだ。

 

ちなみに写真では「車両進入禁止」の標識が写っているが、これは通年6月20日から7月31日までの間、町道老津線が南から北への一方通行期間のみ適用される。つまり紫陽花の咲く期間は林道奥谷線から北上するルートのみでしか麻棉原天拝園に行くことは出来ない。

 

僕のように「酷」な道が好きな方にはたまらないのが町道老津線だが、千葉県の道の中でもなかなかハードな部類なので、自分にはまだ早いと思うなら遠回りだが南側の林道奥谷線からアクセスし、帰りも奥谷線で行くことをオススメする。

 

奥谷線は幅員も4m近く確保されている上、見通しが極端に悪い場所というのも少なく、非常に走りやすい。と言っても、老津線と比較して、だが(笑)

 

林道天津線から北上しても良いのだが、奥谷線と比較すると少々路面が荒く、また段差も多い為、TTのように車高が低い車では苦労する。個人的にも天津線はあまり走っていて楽しい「酷」でない為、天津線を走るくらいなら奥谷線を走った方がハイになれる。

 

関東には他にも麻棉原を超える数の紫陽花が咲く名所があるが、他にはない麻棉原の素敵なところは、周囲に民家が一つも無い秘境の中、自然そのものの音や色、空気を楽しめるところだと僕は考えている。せっかく美しい紫陽花を見に来ても、周りが都会の喧騒に包まれるような場所ではゆっくりすることは難しい。

 

だが麻棉原は違う、モノホンの自然。だからこそ絶景。千葉県秘境中の秘境であり、知る人は少ないが千葉県民の僕としては是非見に来てほしい穴場だ。

 

 

 

 

 

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