過酷な九十九折れ連続の中間地点
尾瀬まであと半分くらい
崖にへばり付いたような道を延々走り続ける樹海ライン。なんだかんだ言って、ようやっと区間④まで来た。折り返し地点と言えばそうなのだが・・・
うげぇ・・・。
九十九折れさん、はりきり過ぎでしょ。ギザギザと稲妻のような形が大まかに取られ、更に鋸の歯のように細かくギザギザして、エグいくらいのヘアピンカーブがこれまでに無い程連なっている。この区間を走り切る頃には悟りを開きそうだな。
区間④序盤はダウンヒル。自然と速度が乗りがちだが、気持ちを抑えて速度も控えめにして大人な走行を心掛ける。こんなとこで昼間っからぶっ飛ばしてコーナー入口でドッカンとかシャレにならないからな・・・。
景色自体は区間③と大差無い。「樹海」とは呼べないような比較的開けた場所で、奥只見湖のヘリを縫いながら高度を上げたり下げたりを繰り返している。
しかし、天気が良いのはドライブ日和で最適なのだが、如何せん日差しが強すぎて目が疲れる。対策としてサングラスはかけているが、それでも直射日光はドライバーにとって大敵だ。
洗越・・・というよりは・・・なんだ?水溜まり?
道路を横切っているのでは無く、斜面から染み出した水がデローンと広がっている。ここらへんは下り坂になっている為、きちんと水が道路を横断せず、下に流れていっているのだろう。
豪快、人工滝
と・・・お?小さな洗越の奥、赤丸で囲ったところに何やら滝のようになっているところがあるぞ?
形状からして、砂防ダムのようだ。豪快に音を立てながら、人工的な滝を作り出している。道路を横切る洗越にはならず、脇の側溝を流れ、そのまま崖下に流れていっているようだった。
7月は雪融け水も多いので、どうせならあの水量が流れる洗越をTTで通ってみたいと思った。あんまり多いとステアリングが捕られないかちょっと怖くもなるが。
尾瀬まで残り○○キロ
砂防ダムに別れを告げ、行軍を続ける。左側におにぎりが掲げられているが、個人的には右脇のダートが気になる。地図で見ると南側に進む道で、そのまま消失してしまっている。林道というより、工事用の作業道だろうか?
来たゾ、来たゾ~恒例の「尾瀬まであと○○キロ」。さあ、あと残りどんくらいだ?
尾瀬:33km
鷹ノ巣:15km
・・・・・あんま進んでなかった。
唐突に小腸を思い出した。ご存知の通り、小腸は動物の内蔵で、胃で消化した食物の栄養素を吸収する器官。人間の小腸も長さ的にはそうでも無いが、内部の柔毛と呼ばれる襞の表面積を含めると、軽くテニスコート1枚分になるそうである。これは小腸内部だけの面積では栄養素を吸収するには役不足だが、柔毛があるとその分より多く栄養素を取り込める為効率的になるのだ。何が言いたいかと言うと、尾瀬までの直線距離(小腸)は大したこと無いが、九十九折れ(柔毛)で距離が長くなっている、みたいなことをふと考えた。・・・・・直接関係無いし、例えとして分かり辛いが(笑)
対向車対策
む、対向車。
カーブミラーの設置されていないコーナーではしばしば対向車がひょっこり現れる。夜であればヘッドライトで接近が容易に予想出来るが、昼間ともなるとそうもいかない。もしイン側をカットするようにコーナリングしていたら、コーナーで鉢合わせ、そのままドカンということも珍しくない。
ならば速度を落とせば良いのではと思うかもしれないが、ことはそう単純でも無い。例え速度を落としていても、樹海ラインのような1車線が多い道路では走行ラインで事故率は大きく変わってくる。もし仮に僕が1車線の真ん中を走っていれば、向かって左側を走ってきた対向車と衝突する。であるからして、1車線でも見通しの悪い場所では極力左側に寄り走行することが重要だ。こうしておけば自分の車両感覚を磨くことも出来るし、離合の時に焦ることも無くなる。樹海ラインに限った話では無いが、1車線道路と言っても、普通車であれば大体の道はお互いが路肩ギリギリまで寄れば離合することは可能である。勿論、どう頑張っても不可能な道もあるが・・・。
あと、対向車の接近を昼間に検知する手段としては、太陽光の反射を使う手もある。これは上記の写真のように日差しが強い日にしか使えないが、日光が車のボディに反射し、路面や周りの草木に不自然な光を作る。ボディの陰も出来る為、それらを見つけることが出来れば素早く車に気付け、離合を考えることも出来るのだ。
今回にしても、ブラインドカーブ先から対向車が来ることを意識していたので、赤いラインのように道路左側に寄るようにして走行し、難なく対向車をクリアした。
またしても対向車。
しかも今度は待避帯も無いストレートの1車線である。広めのところまでバックして離合することも考えたが、幅員を見る限り、何とかすれ違えそうだな。
状況としては僕が下りで、対向車が登り。この場合、優先される車両は登りの方、つまり対向車。
これは停止してから発進する時の難易度に寄るものだ。マニュアルにしてもオートマにしても、登りの発進というのはミッションに負担が掛かる。見たところ対向車はオートマっぽいが、もしマニュアルなら坂道発進を強いられ、面倒だ。後ろに車は見えない為、後退しても迷惑は掛からないだろうが、それでもだるいのは間違い無い。逆に下りであれば、停止してもブレーキをリリースするだけで発進出来、マニュアルでも静かにクラッチを繋げば良い為、登りと下りで難易度の差は歴然である。確かに、対向車のドライバーが坂道発進をも苦にしないベテランドライバーで杞憂に終わることも有り得るが・・・。
一旦山側にいる僕が停止し、対向車と離合する。実際片側が停止していた方が、精神的な負担は減ってくるはずだ。少なくとも僕はそう考えている。相手のドライバーも隘路の離合には慣れているようで、速度を緩めることも無く、クリアしてくれた。
携帯が繋がる僅かな区間
もはや見飽きたレベルの洗越。大した勢いも無く、水溜まりと言うに遜色無い。道の景色も変わらずで、九十九折れの繰り返しだ。
だが、ようやくある変化が訪れる。その変化というのは・・・
これだ。拡大してみよう。
携帯電話 通話可能 (ドコモ)
ここから
圏内に入ったのである。ただし看板に書かれているようにドコモのみが繋がるらしい。僕の携帯はauなのだが、本当にドコモしか使えないのかは試していないので分からない。
現に今まで全く頭上に見えなかった送電線がようやくお出ましだ。この送電線、田子倉から首都圏までを結んでいるらしく、途轍もなく遠い区間まで続いていることに驚いた。
だが、通話可能区間もあっという間に終わってしまう。車であれば1分程度で到達する場所だ。
地図で範囲を現すとこんな感じである。始点と書かれた場所に通話可能区間開始の看板があり、終点に区間終了の看板が置かれている。その距離たったの850m。樹海ラインと呼ばれる道路は約74kmに対して約850mだからもしここしか圏内でないのなら、全体の約1.14%しか携帯電話が通じないことになる。もしかしたら樹海ライン始点の小出や銀山平なら通じるかもしれないが、尾瀬では建物内以外繋がらなかったので、あながちその通りなのかな。
しばらくぶりの建物
何の為の立入禁止?
暫時とも言える通話可能区間(ドコモのみ)を過ぎ、続くダウンヒル。
そのさなか、もしかしたら樹海ラインで初めて見る看板に出逢った。
立入禁止
新潟県
・・・・・いや、入らんでしょ(笑)どう考えても断崖の左側に敢えて踏み込もうとする勇者がいるか?と言うより、入り込んだところでまるでメリットが見当たらない。崖を降りてもあるのは湖。もしかしたら釣り人が行くのかもしれないが、よほどの大物が釣れるポイントでも無い限り、わざわざ降下するとは到底思えない。設置する意味があったのか謎な看板だな。
平坦休憩
道路パトロール車!こんなトンデモ国道でも巡回するんだな。お疲れ様です。一般的に道路で見かけるタイプのカラーで、NEXCO東日本が所有するパトロール車のようだ。
だいぶ風景が普通の田舎道に戻ってきたな。樹海ラインに入る前の景色みたいだ。
ん?でっかい建屋だ。形を見る限り何かの大型機械か大型車両を保管する為のように思えるが。はっきりした用途は分からない。
飛沫上げる洗越
洗越ジャーン。って今更驚くようなことでも無いのだが、見たところ今までのチョロチョロ水量と異なり、結構水が流れているように思える。
パッと見そこまで段差になっていなさそうだし突っ込みたいが、見立てが甘くてバンパー下に当たるのはご免被りたい。ので、静かに進入する。
ジャバーー!!!
豪快・・・とまではいかないが、水飛沫を跳ね上げながら渡行する。何気に今まで通ってきた洗越の中で一番勢いのある子だったように思えるな。これくらい無くちゃ面白く無い。
憩いの場
ちらほらと電信柱も散見されるようになり、この辺りに人の営みがあることを教えてくれる。情報では檜枝岐村まで集落は無いはずなので、恐らくは観光施設か。
あーホッとするわー。峠も一時の終わりを告げ、短い休息を与えてくれる。
小白沢ヒュッテ近くに到着し、これにて区間④も終了だ。長かった奥只見湖畔を縫うようにして走る道路も終わり、森の中を疾走する道路へと変わっていくのだ・・・。
区間⑤に続く・・・
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