千葉県は林道の聖地である。
冬は温暖で、首都圏からのアクセスも比較的楽な千葉県は夏は勿論、冬も多くのライダーやクロカンが林道を攻略しに訪れている程だ。ツーリング雑誌等では度々房総林道が話題に挙がるくらいには人気と言えよう。
そんな千葉県の林道の中でもトップクラス良さを誇る、最強の林道があることをご存知だろうか?
林道金谷元名線
今回ご紹介する林道の名称は林道金谷元名線。富津市の金谷と鋸南町の元名までを結ぶ、約8.11kmの完抜林道だ。
金谷のすぐ近くに東京湾フェリーが周航する浜金谷港があり、東京湾フェリーは神奈川県横須賀市までを繋いでいるのだが、その海の部分が国道16号線の海上区間に指定され、国道16号線を走破する為には必須ルートなのだ。
また、鋸山の裏側を通る林道でもあるので、普段目にすることの無い鋸山の姿を林道から見ることが出来るのも魅力の一つだろう。
国道127号線から千葉県道237号線に分岐してすぐであると同時に、高速道路の富津館山道路の富津金谷ICを降りて間も無くであることからアクセスも大変良い。
早速不知火ソロアタック時の無様な撤退風景と、その後の走破風景の2本立てでお送りしていきたい。
クーペに優しいお手軽林道
林道では「お約束」の光景
現在地は千葉県道237号線。そこを左折し、林道へと差し掛かるスタート地点付近だ。
千葉県道237号線から富津館山自動車道の富津金谷IC方面を目指して行くと、左手に小さな脇道があり、入り込むとそこが林道金谷元名線という訳である。
入線当初こそ舗装されているが、すぐに未舗装路面に変わる。そう、ほぼ全線がダートの林道となっているのだ。
比較的フラットダートで走りやすい林道として、マニアには知られていて、知名度も高めだ。
評判が高い林道なこともあってか、確かに走りやすい。低車高の相棒TTでも苦すること無く、スイスイ進んで行ける。
千葉県道237号線から入った場合、登り勾配となるのでFF車では少々心配だったが杞憂に終わり、トラクション不足に悩まさせることは全く無・・・・
・・・・・くも無かった。
随所にこういったズバッと路盤がブチ切られた(TTにとっては)エグい段差が存在し、段切りを余儀無くされた。
ドライで路面も固めの為、ダートの登りで段切りしてもホイールスピンはしないが、やはり若干のパワー不足は否めない。それでも1速でゆっくりスロットルを開けるときっちりとフルトルクでジワジワと登りクリアしてしまう辺り、流石はアウディと言うべきか。
轍に関しては、TTで通れないくらい酷いものは無い。車幅1840mmでも避けられる場所に配置されているからだ。中央や両端が轍の場合、ブリッジ走行しないといけないので、面倒なのだが。
おやおや、水溜まりですねぇ。
もはやダート林道の定番とも言うべきだろう。よくラリーのワンシーンで、泥の水溜まりを勢い良く巻き上げるのがあり、やっているところをTTでも撮ってみたいとは思うが、深い水溜まりだと段差にボディが取られて「ガンッ」と嫌な音がするので、やりたくても出来ないジレンマにヤキモキさせられる(まあ、実際にやって撮影したりもしたことはあるけど)。
明るっ!
何だここ?広場か?
それまで道路脇に樹木が生え、如何にも林道という場所を走っていたのに、急に視界が開けやがった。
つまるところここが林道金谷元名線の頂上、というよりは稜線ということになる。ここから先、しばらくの間は勾配の無い、平坦なダートが続くのだ。
絶景広場
裏見の鋸山
ということで記念撮影。
こりゃあかなりの絶景スポットじゃあないか。
晴れているにも関わらず、平日なこともあってか、周囲に車はおろか、バイクすら居ない。完全な独占状態で相棒TTを心行く迄撮影することが出来た。
広場は少し高くなった丘のような部分があるので、そこにTTを登らせ、角度を決めて撮る。
写真左奥にうっすら見えている山々が鋸山だ。
現在地としては鋸山から見て北側になるので、云わば普段見ない「裏の鋸山」を見ていることになる。
所々、鋸山の特徴とも言える、直線の筋が入った山肌も散見され、見ていて飽きが来ない。
千葉県のサバンナ
すっげぇエエ感じの林道やな(小並感)。
群馬県と長野県の県境にある毛無峠とまでは到底いかないが、ゴツゴツした岩肌の上に点々と生えた木々が荒涼とした風景を演出し、不知火好みの景色となっている。
ここ日本国において、海外のような「荒野風の景色」を見られる場所は少ないように思えるので、そういった意味でもこの金谷元名線は貴重な存在と言えるだろう。
ファーストアタックから数年が経ち、以前より写真の腕も上達した2022年2月の写真。
冬ともなれば一層景色に荒れ感が増し、ゾクゾクする風景が拝める。不知火は度々この林道に通う程心底傾倒しており、これを「聖地巡礼」と呼んでいる。
そうそう、「あの景色」もお見せしなくてはいけないな。
「すみません、ここは海外でしょうか?」
「いいえ、ここは日本の千葉県です。」
またもや小並感で恐縮だが、これを見たとき本気でそう思ってしまった。
広々とした空間、辺りに生える背の低い草、随所にある泥の水溜まり、まるでサバンナのようだ。よもや日本の、しかも千葉県にあろうとは誰が思うだろうか?いや、思うまい。
そうだ、ラリー写真、撮ろう
広場から見て東側に進み、撮影している時のこと。ふとある考えが浮かぶ。
「これ、撮れんじゃね?」
何が、というのは野暮というものである。
日頃ラリーに憧れ、その真似事みたいなことをしている不知火にとって、「ラリーっぽい写真を撮ること」は生き甲斐の一つなのだ。
と、いうことで、ラリーっぽい写真を撮ってみることにする。
しゃりしゃりしゃりしゃり・・・(砂埃を巻き上げる音)
・・・あんまりラリーっぽく無い?(笑)
許して欲しい。ラリーは好きだが生で見たことが無いので、本当にただの自己満足だ。他の人が写真を撮ってくれるなら流し撮りでそれっぽい写真になったかもしれないが、如何せんいつも通りソロである。道路脇の邪魔にならない所に三脚を立て、動画モードで撮影したものを切り出し、写真にした。何度か撮り直して悪く無いアングルを選んだのがこれという訳だ。ドローンでもあれば雰囲気出たのかもなぁ。
車両限界
神風特攻
少し進むと左手に林道竹岡線、右手に林道金谷元名線の分岐がある。
写真はその金谷元名線の続きなのだが、今までより明らかに危険なスメルが立ち込めている。
歩いて状況確認をしに行っても良かったのだが、どうせなら出たとこ勝負で神風特攻してみるのがテイスト的に不知火っぽい、と思う。
その結果がこれである(笑)。
見辛いと思うが、幅員5m弱のダート区間に現れたのは中央にV字の溝と高さ20cmくらいの段差だった。
まだ林道竹岡線との分岐から殆ど進んでいない。まさかこんなところでつまづくとはな。
これは・・・到底通れそうに無いか?
状況確認
何はともあれヘルスチェックを開始する。右の道路端ギリギリ迄TTを寄せ、降りて溝と段差を確認してみる。
どーでもいいが、降りるのが死ぬ程大変だった(笑)。
ご覧の通り道路脇10cm以下までTTを寄せたので、ドアは数センチしか開けられない。窓を全開にして、道路壁を掴んで身体を軟体動物よろしく、捩ってようやく降りられた。この時程自分が痩せ型だったことを有り難く思ったことは無い。
同乗者が居れば、運転を変わってもらって、指示したり出来るのだがな・・・。まあ不知火はソロアタックオンリーなので、これくらいは日常茶飯事と言って笑い飛ばすしか無い。
とは言ったものの、さて、どうするか。
車の右側は段差が無いので通れるが、問題は左側、つまりは道路中央だ。真っ向から入れば確実にフロントバンパーがご臨終するだろうし、段切りしようにも、トラクション不足でスタックする可能性がある。
万事休す・・・か?
現場介入
えっちらおっちら・・・。
なんか奥から怪しい人間が変なもん持って歩いて来たぞ?(笑)
どうも、管理人不知火です。
正直、目の前の置かれた状況から考えれば、9割9分9厘突破不可能だが、ギリギリまで足掻くのも不知火の真骨頂。やれるだけのことは試してみる所存である。
その辺に落ちてた倒木を引っ張って来てから叩き割り、それを溝に積んで高さを稼ぎ、足場にしてしまおうという魂胆だ。・・・成功の見込みは低い。
そしてっ!振りかぶるっっッ!
モンハンに出て来る大剣の縦斬りモーションの真似では無いが、勢い良く後方から振り下ろし、地面目掛けて叩き付ける。
バギャアァァン!!!
甲高い音が辺りに響き、木が折れる。当初の考え通り、小さくなった木を溝に置く。
そしてまた倒木を拾ってきては叩き割り、溝に積み・・・のルーチン。4回程で行けそうな高さにはなった。
不可撤退
の、はずなのに、この不知火の表情。
これはちょっと、というかかなーり困惑気味の、微妙なカオだ。
何故、こんな表情になっているのか・・・?
やっぱ無理でしょ(笑)。
高さはある。だが材料の材質と形がバラバラ過ぎて、とてもタイヤを乗せられそうに無い。
木だけでは足りないと思い、石も加えているが、結論は一緒で「無理」の二文字だった。やはり頑丈なラダーでも買ってきて載せるしか無いのか・・・。
悔しいが、ここは諦めてリタイヤするしか無さそうだ。
徒歩先見
一応、徒歩で軽く先を見てみることにした。
暫くはなだらかなダートのようなので、あそこさえ何とかなれば、進むことは出来た。
落石が目立ち、危ない場面も見受けられる。連日晴れの日が続いているので、すぐにでも崩落する心配は無いと思うが。
う・・・これちょっと微妙かも。
路肩崩落というやつだ。ガードレールより内側まで削れ落ちていて、車幅1840mmのTTでは突破困難なシーンと思える。
写真左側の方までボディを寄せれば或いは行けはしたかもしれないけど、そもそもここまで辿り着いていないので、試しようが無いな。
無念ではあったが、林道竹岡線との分岐がある地点まで戻ってきた。
さっきの溝+段差の場所で転回しようかと思ったが、やるには地形が厳しかったので、200m程バックした。
道路が真っ直ぐでは無く、たまに曲がった線形で物凄く慎重にバックしないと「枝ブラシ」の洗礼を受けるハメになる。気を付けてはいたが、全て避けることは叶わず、2、3度左から「シュワワワワッ」という嫌な音が聞こえてきた。無論そういうのは酷道や林道を走ったという「証」でもあるので、不知火的にはあまり深く落胆しないのだ。
その後は広場方面に戻り、下山し、千葉県道237号線に合流して帰路についた。
しかし、林道金谷元名線アタックはこれだけでは終わらなかった。
再度挑戦、完全走破
千葉県アウディ酷道勢
さて、初回金谷元名走破は敢えなく大敗し、落胆せざるを得なかったのだが、それから数年が経った2021年6月、再度林道金谷元名線へ赴く機会があった。
ばーどさんとのアウディ房総林道ツーリングである。
Who is ばーど?
ばーどさんとは、同じ千葉県に住み、同じくアウディに乗るアウディ紳士である。彼の愛車はアウディが誇るフラッグシップスポーツサルーン、デイトナグレーのアウディS8だ。
ばーどさんにはせれーなさんという、デニムブルーのフォルクスワーゲンビートルカブリオレを駆る奥様がいらっしゃる。お二人のツイートを拝見していると、概ね奥様に主導権があるらしく、節分のときにはばーどさんが鬼役に徹して落花生でフルボッコにされるなど大体旦那様が弄られているが、それは本当に仲が良いということの証。実のところはお互いがお互いを信頼し合い、心から愛し合っているという、何とも羨ましい理想のご夫妻なのだ。
そんなご夫妻タッグだからこそ撮れる、数々のユニークな写真がTwitterに挙げられている。「秘密兵器」で緻密な連携を取り、ベストタイミングな写真を沢山撮られていることに加え、「家族の一員」のさめちゃんとらいちゃんが合いの手を入れるなど、ツイートは大変手が凝っている。
更に有難いことに、ご夫妻で不知火の秘境捕獲物語を愛読して下さっているとのことで、林道などに興味を持ち始めたきっかけでもあったのだとか。ありがとうございます。
(シラペディアより引用)
ということで今回、ばーどさんのS8と共にツーリングを開催することとなり、林道金谷元名線へ向かったのである。
一説には件のV字溝+段差箇所は修正されたらしいが・・・まずは2台揃って千葉県道237号線から林道金谷元名線に入線し、ゆるゆると頂上を目指して行く。
そして某ラリー走行風の写真が撮れそうなところで停車。撮影会を敢行することに。
森海絶景
適度に荒れる路面、鮮やかな森林、顔を覗かせる大海・・・。
森海絶景。それがこの光景を見て浮かんだ言葉だ。
なんて素晴らしい眺めなのか・・・。林道金谷元名線にこんなポイントがあったとは。
冬の林道は映えないからつまらない・・・?違うな、間違っているぞそれは。
冬の林道がつまらないのではない、林道の選択が間違っているのだ!
見よ、林道金谷元名線を!草木枯れ、荒涼さが際立ち、夏とは異なる美しさを醸し出しているではないか!
是非あなたのその目にも焼き付けて頂きたい・・・(CV:福山潤)
こちらは2月に同地点から撮影した写真だが、如何だろうか?思わずルルーシュの口調で紹介したくなるくらい秀美な眺めだろう。このように夏も冬も楽しめるのが林道金谷元名線なのだ。
リアルWRC撮影会
WRCの風味を醸し出すアウディTT。
撮影ばばーどさん、運転は不知火だ。
壮観。その一言に尽きる。以前三脚を置いて動画を切り取ったエセWRCなんて霞んで爆散する程の惚れ惚れするショット。いつかは砂埃を巻き上げてダートを疾走するところを撮りたいと思っていた夢が叶った瞬間である。ばーどさんありがとう・・・。
続いて豪快に砂埃を巻き上げてダートを疾走するアウディS8。
ダートの林道を走行するS8など誰が想像出来たことだろうか。全長5mを超えるFセグメントセダンの巨体が林道金谷元名線を駆け抜ける・・・。もはや涎しか出ないだろう。
ちなみに撮影がばーどさんで、運転が不知火だ。不肖不知火がばーどさんの愛車を試乗させて頂いた、しかもダートというレアシーンで。もし例えS8が購入可能でもディーラーにて「ダート林道で試乗させて下さい」と申したところで1000%却下されるのは火を見るよりも明らか。云わばこの時、この瞬間、不知火はそんな夢のような一時を過ごしていたのである。
アウディTT×アウディS8
未だかつて異色とも言える組み合わせの車両がダート林道を背景に撮影した例は皆無であろう。これぞ映えの極致・・・(やや興奮気味)。
現在地。サバンナ地帯を秘める広場からやや東に進んだ地点だ。ゆくゆくは密かに人気が出てくるかもしれない。
心強いバディとの林道走行
森海絶景を撮り終え前進。
全線に渡って概ねフラットである為、低車高のクーペにとっても(大体)走りやすいのは有難いところ。
緩やかに右カーブする道。
もうじき、もうじきだ。某所が見えて来るのは・・・。
現在地。林道竹岡全然の分岐から僅かに進んだ所である。
ここが何の場所なのか?ここまで記事をお読みの方ならピンと来るだろう。
そう、例のV字溝+段差で無念の撤退を強いられたアレだ。
だが前回と比較すると随分なだらかになっている。幾多の路面改修工事で手が加えられたのだろうな。
とはいえパッと見TTで行けるか行けないか怪しいビミョーなライン。
・・・にも関わらず不知火何とも嬉しそうな笑み。
まるで遠足の前日好きな女の子と班が一緒になって嬉しさを隠せずなかなか眠れない小学生のようだ。
フェードインした心強いバディ、ばーどさんと共に路面のコンディションを確認する。
ばーどさんとどうすれば突破出来るか?あれこれ思案している様子。直で入ると確実にTTのフロントリップスポイラーがオシャカサマになるからな。
ばーどさんの表情を示す絵文字もご覧の通り苦笑い気味だ。
二人で路面を探ったところ、目一杯右に寄せて右側はフラットな場所を縫い進み、左側はどうしても段差を越えることになるので、そこは石ころを置いてクリアする、というシナリオを組み立てた。
ひとまず当たって砕けてみよう(砕けたらダメだが)。
オーライ、オーライと車体下部を監視しながら誘導するばーどさん。
大きな身振り手振りでリアルタイムにジェスチャーして下さるので聴覚に頼らずとも視覚だけで瞬時に把握出来る。
唐突に左手を突き出し、STOPの合図。段差にリップがヒットするのだろう。
やはり一筋縄ではいかない地点だな・・・。
一度TTをバックさせたのち、仕切り直す。
進行方向上に腕を振るアクション。進め。ブレーキを踏みながらアクセルを煽り、やや勢いを付けながらトラクションを掛ける。行けるかッ・・・!?
んむ!?これは!?!?!?
突如両手で半円を描く動作をされる紳士。これはインド人を右に・・・もとい「ハンドルを右に」のジェスチャーだ。動きに倣い、ステアリングを右に切りながらじわり、じわりとアクセルを開けていく。
そして・・・
Come on!!
「オールグリーン」とも取れる全身全霊の動き。
しゃあ!ついにこれで突破だ!
さて、TTで突破したので、S8も誘導を・・・と思ったのだが、
あっさり突破。
完全なる杞憂。車高もあるが、TTで苦労していた段差もS8は何事も無かったかのように鮮やかな突破を披露したのである。
全長5145mm、全幅1950mmの巨体がスルリと荒れを踏み越える様は形容しがたい美しさを放っていた。
改めて今突破した路面を振り返る。
大抵の車なら意にも介さぬ些細な地点だが、クーペにとっては大敵。なにんせよ、ばーどさんの的確な誘導のお陰でフロントリップスポイラーをオシャカサマにせず済んだのである。
さあ、先に進もう。
ここから先はTTだと未知の領域。期待と不安に胸を躍らせながらスルスルと奥を目指していく。
いやしかし、ほんとこの林道好きだわ。
法面がモルタルで固められていない崖といい、ガードレールの無い路肩といい、自然物オンリーの光景を魅せてくれる金谷元名は房総、いや、関東でも指折りの高規格林道と評しても過言ではないはずだ。
金谷元名が千葉県でトップクラスに人気な理由も頷けるというもの。
加えて一般的に雪が降らない千葉県なので冬期閉鎖が存在せず、オールシーズン挑めるというのも不知火的にポイント高い。
っと、気の抜けない場所が・・・。
エグイ抉れだ。またもやそのまま突っ込むとリップかお腹がガリンコしてしまうだろう。
別の日に同じ抉れを撮ってみた。
色が濃いところが深くなっているところ。道幅と車幅的に路肩ギリギリに寄せてパスする手段は取れない為、段切りを使うしかクリアの方法は無い。
秘技☆連続段切り・・・!
まあこんなにウネウネ動いてないが。
アウディスポーツセダンの王者、S8。
クラウンギア式フルタイムクワトロシステムを搭載しており、前後駆動配分は40対60を基本とし、15対85から70対30と広範囲の振り分けを可能としている。また、V8ツインターボエンジンから生み出される最高出力は520馬力、0-100は巨体でありながら驚異の4.2秒という瞬速。
都会的な光景こそ似合うはずのS8だが、ダート林道に身を置き妙にしっくりと来る佇まいはどうだ。それはきっとかつてアウディがWRCという舞台で一世を風靡したという伝説の名残に違いない。
崩落の跡が垣間見える。
当林道はオススメの1本であると同時に頻繁に災害による通行止が発生する為、全線走破出来るタイミングは稀だったりする。とはいえ、走破出来ずとも絶景の宝庫であることに変わりは無いので、その際はピストン林道だと思って走れば良いと思う。
おや、完全フラットな路面のターマック、舗装路だ。
ここから少しの間は舗装された道に切り替わる。
路肩に落ち葉と土砂が積もる1車線。
ここは流石に対向車が来たらすれ違えないな。まあ滅多に離合することも無いが。
広い空間になり、奥に何やら板のようなものが見える・・・。
ということは、つまり?
記念碑!第一車幅試験会場!
ついにここまで来た、林道金谷元名線を代表するチェックポイントである。
アウディTTとアウディS8が並び記念撮影。森海絶景に引き続き、林道に集うアウディーズ。
未だかつてこの組み合わせで林道金谷元名線に挑んだモノがいただろうか?いや、無かっただろう。林道にはあまりにも異色のペアだからだ(さっきも似たようなこと書いたな)。
それ故に唯一無二。見る者を圧倒させる光景がそこにはあった。
傍らに設置された林道開通記念碑。
林道南房総金谷元名線、というのが正式名称のようだ。
現在地は富津市と鋸南町の市町境。
ここでばーどさんは半泣き一歩手前(?)のスーパー焦りタイムをご披露されるが、詳細は後程・・・(危険な微笑み)
よし、お先に進むか。
第一車幅試験会場の幅員は目算で2m。ぶっちゃけ幅員2mは今まで死ぬ程TTで通って来たので、一瞬で終わるゲートならボーっとしててもミスらない自信がある。
なめプッ!
宣言通り何も考えず試験会場を後にする。何せ2mの幅に対し、16cmも余裕があるのだ。TTで2mをミスる方が難しい。
悠々と車幅試験を合格したTTは先に控える林道風景をカメラに納める。
右に原生、左に植樹。左右で異なる木々の風景というのもなかなかに趣があるな。
ではお待ちかね、スーパー鬼畜タイムを始めよう・・・。
最狭!超絶車幅試験
この写真を見たあなたは何を思っただろうか。思考が追い付いてきているだろうか。
写真左側にS8、右側に2m車幅試験会場のバリケード。つまるところその反対側というのも、
・・・同じ光景ということになる。
タイヤとバリケードの隙間には指1本分の間隔しか許されない、まさにギリギリ、最狭。
だが当人のばーどさんは右手を掲げる程の余裕・・・な訳が無く、冷や汗が顔に滲む程の焦りを見せていた。恐らくこの運転席から伸びる右手は「HELP ME!」だろう。
自分より遥かに社会経験豊富な超大先輩が涙目寸前で焦っているのだ。これをニヤ付かずして何をニヤ付くというのか(鬼畜)
・・・というのは半分冗談で、実際は不知火も半ば焦っていた。何せS8の車幅は1950mm、つまりたった5cmしか余裕が無い。
ここで誘導を誤れば人様の大切な愛車に擦り傷を付けかねない。大胆かつ繊細な誘導を心掛けた。
無事S8も車幅試験会場を突破し、2台揃ってストレートダートで撮影する。
TTが林道にいるというのはもはや読者にとって見慣れたものだろうが、S8が加わることで圧倒的に絵力が増すというものと言えよう。
ひたすら下る折り返し地点
ここからは下り区間なのだが、その前にこの一枚。
手前に鬱蒼とした森、奥に浮かぶ空と山。
どこでも撮れそうで今まで見掛けなかった光景だ。こんな場所があるのも金谷元名の魅力。
ターマックになり、急傾斜。
ドラレコだと霞んでしまっているが、本来は小鋸山が見渡せるので、なかなか悪く無い眺めである。
兎に角、急。
2速に入れているが、スロットルを開けずとも勝手に40キロは出る。適度にブレーキを交えながら坂を下って行く。
眼前に迫る切通しと左手にシュウマイ・・・もとい土嚢。道路愛好者はその形状からシュウマイという名称を好んで使うという。
入っているのは小枝か土砂か。いつの間にか路面もダートになっている。
幾重にも重なる連続S字切通し。
緩やかに曲線を描くS字カーブに複数の切通しが配されているというのもレアと言えるな。
件の連続S字切通しはここ。林道行軍も残り僅かとなってきた。
元名側のダートは至ってフラット。金谷側と比較してもかなりなだらかで走りやすい部類だろう。
砂利というよりは土。
砂利よりも柔らかい土の方がタイヤに対しては負担が小さいだろうが、雨が降ったときなんかはマディになり、スタックの脅威となり得る。
加えて坂でもあることからぬかるんだ雨の日に登り勾配で挑めばかなりハードで、四駆くらいしか林道は相手をしてくれないだろう。やはり金谷側から元名側に抜けるルートがベターなのかもしれない。
左手を見るとちょっと小高い丘がある。ジムニー先輩やオフバイクが好みそうな場所だ。
実際斜面にはタイヤ痕が沢山刻まれていたので、多くの愛好家が登っているのだろう。
いいねぇ、こういうカーブ・・・。
ダートで掘り抜かれた両側は木と草が生え、自然そのものの場所。人工物が一切視界に入らない道もまた、非日常感が高められるような気がしてそそられる。
すっげえ広い・・・。
それもそのはず。左側には小鋸山の入口がありトラックの出入り口にもなっているからだ。
とはいえ、小鋸山へは一般人立入禁止なので、車も人もここから入ることは出来ない。航空写真で見る限り絶景なので、車と撮れればさぞ映えるだろうが。
また狭くなるが、舗装路になる。
この辺でダートは終了となり、このままずっと麓まで舗装された道だ。
おっと、これは・・・?
あっち向いているが、これは林道看板、つまり林道金谷元名線の終点。
ついに念願の林道金谷元名線を完全走破した瞬間なのであった。
現在地。林道アタックはこれにて終了なのだが、あと少しだけ語らせて欲しい。
というのも、先程「第一車幅試験会場」と書いたからには「第二車幅試験会場」があるということであり、それがこの先にある。何を意味するか・・・お分かりだろう・・・?(ジュルリ)
舗装されているとはいえ、所々路面がボコボコしている。
あまりハイスピードで走行すると「バッコン☆」という車体が跳ねる音が聞こえてしまう。
監視カメラや・・・。
なんでこんなところに?と言いたくなるが、恐らく小鋸山への侵入対策だろう。
録画しておくことで、仮に小鋸山への侵入があった際に動かぬ証拠として警察に突き付ける為と考えられる。とはいえ、林道を走行するだけなら全く問題は無いので元名側から走行を開始するとしても監視カメラにビビらず堂々と走って金谷側を目指せば良い。
出た、第二車幅試験会場・・・!
読者の方々はS8が再度この試験を受ける瞬間を早く見たいと心待ちにしているだろうが、もうすぐ、もうすぐなので今暫くお待ち頂きたい。
なめp(ry
特筆すべきことは無い。
スルリと第二車幅試験会場をTTで抜け、停車する。
さて、ばーどさんの焦る姿を拝み倒そうかな・・・(修羅畜)
見よ、第二車幅試験会場を前にするS8を・・・!
そして想像して欲しい、ばーどさんが再度地獄を前にして滝汗涙目になっている姿を・・・(笑)
ちなみにこの日、ばーどさんが呟いた最狭車幅試験のツイートがあまりに衝撃的過ぎてTwitterのトレンドに「アウディ」が入ったことも付け加えなければいけないな。
記念すべきワンシーンを目の当たりに出来た不知火は果報者だろう。
現在地。全てのミッションをクリアした最終的な地図をここに残す。
かなり見所満載で、濃密な林道アタックと言えるだろう。
この日はその後も林道やら町道やら外房やらと心行くまでツーリングを楽しみ、健闘を讃え合ったのであった。
ばーどさん、この度は本当にありがとうございました。
終わりに
林道金谷元名線は神林道だ。道中垣間見える雄大で目まぐるしく変化する風景は一見の価値がある。
走破せずとも広場までを目指すのであれば、ダート林道の中では初心者向けの簡単なコースなので、是非訪れてみて頂きたい。
最も、舗装路面と比較すると未舗装路面は幾分か難易度が高い為、無理や油断は禁物だ。
終
相棒TTと撮影したオススメスポットを地図にまとめています。
良ければ愛車と写真撮影する際の参考にして下さい。
記事内にイチオシスポットも挙げて幾つか紹介しています。
今まで訪れた秘境スポットを地図にまとめています。
ブログ記事を書いているスポットはそのまま記事にジャンプ出来ます。
僕が行ったことのある観光地をマイマップにまとめました。
観光地についてもそれなりに行っていますので是非見てみて下さい。