酷道418号線、深沢峡。
もしこれだけ聞いて何のことかお分かりなら、なかなかの酷道マニアである。
いや、廃道マニアと言った方が妥当か。
何を隠そうこの深沢峡、日本三大酷道に数えられる中で、最も熾烈を極める区間の地名だからだ。
今回はその深沢峡の廃道区間にアタックしたときの模様をレポートしたいと思う。
酷道界の王者
そもそも酷道418号線とは、長野県飯田市から福井県大野市までを結ぶ、約243kmの一般国道である。
全線に渡って酷いという訳ではなく、所々2車線の至って走りやすいバイパスや、普通の市街地がある為、終始緊張を強いられるということは無い。
だがこの酷道418号線が究極の王者、「キングオブ酷道」と別名されるのにはれっきとした理由がある。
それは、有名な温見峠の「落ちたら死ぬ!!」に加え、荒れ方がとてつもなく酷いダートの超絶酷道区間と、完全なる廃道区間を抱えているからに他ならない。
この記事でお伝えしていくのはその廃道区間となる。
恵那市の笠置ダムから八百津町の町道十日神楽線までのおよそ8kmで、この付近一帯は木曽川とそれに連なる急峻な谷の地形から深沢峡と呼ばれているので、当レポートでは深沢峡廃道区間と呼称させて頂く。
本レポートは範囲が広いので、便宜上区間を区切ってお伝えしたいと思う。大まかに、区間①、区間②、区間③と分ける。この記事では区間①を拡大してお送りする。
ちなみに超絶酷道区間については我が相棒TTでアタックをしてラスト迄辿り着いている。壮絶過ぎる闘いのリアルなレポートを是非ともお読み頂きたい。
不通匂わせる怪しき青看板
現在地は岐阜県恵那市笠置町。道路的には国道418号線と岐阜県道412号線の交わる武並橋である。
東に進めば岐阜県道412号線を経て恵那市街、西に進めば国道418号線を経て八百津町・・・のはずなのだが・・・
おや・・・?
・・・うわぁ・・・。国道418号線のおにぎり点線で×印だよ・・・。
青看板上にハッキリ文章で書かれている訳では無いが、何というか「見りゃ分かるでしょ」的な。
青看板のあったT字路を左に曲がり、分岐に差し掛かる。右手が岐阜県道412号線、左手が国道418号線だ。不思議だ、左手には得体の知れぬ怪しさが漂っているような気がしてならない。赤丸をそれぞれ拡大してみる。
左手、直進の方には「418」のおにぎり、右手には「412」のヘキサ。上の写真を見てもらうと分かるように、外側の白線は国道をぶった切りながら引かれている。あからさまに「県道進めよ」と言われているような。
全面通行止
八百津方面
通り抜け出来ません
ぉおふ・・・。文章で来やがった。もうこんなの見ると、どんな風に国道が「点線化」しているのか気になって仕方ないジャマイカ。
うし、怪しさ満点な国道へレッツラゴーだ!
風化したおにぎり
分岐先は特筆すべき点が見つからない、一般的な道路だ。クラス的には市道か町道辺りか。
右手に見えるのは栃久保という集落だ。「有りがちな限界集落」の風景である。喧騒とは無縁で、都会のストレスからは切り離されながらも、独特の文化が形成されている、とでも表現するべきだろうか。
ん?なんかあるぞ?・・・ってこの形っ!
ONIGIRIィ・・・。
凄まじい廃れ具合だ。老朽化を通り越して風化している。表面の文字は目を凝らしでもしない限り、何が書いてあるのかほとんど分からない。
幾ら何でもこんな劣化の仕方アリか?バッテリー液でもぶっかけない限り、ここまで酷い惨状にはならないんじゃないか?一体全体何があったんだ、おにぎりさんよ・・・。
おにぎりに手を合わせ(?)先を急ぐ。またもやボロボロな看板にエンカウントしたぞ。
この先行止り
たった6文字の看板だが、先の道の光景も相まって他の下手な看板とは比肩出来ない程の説得力がある。こりゃあ荒れるぞ・・・。
(どうでもいいが、送り仮名遣い古いな)
ダム湖と「一体化」した道
いよいよヤバい道になってきた!エスケープゾーンが皆無な完全1車線となり、路面もアスファルトだが荒れ方が増してきている。
濃イ濃イ濃イ!不知火大好物なアグレッシブロードですよ。
こういう道はマジでテンションが上がる。行けるか行けないかの判断、対向車が来た際のエスケープポイント、車幅ギリギリのコーナーでの絶妙なハンドリング。常に立たされるDEAD or ALIVEの瀬戸際だ。一歩間違えれば人生をログアウトする羽目になるのだが、幾つもの修羅場をくぐり抜けてこそ生きている実感が湧くというものだ。ちょっと追い込み過ぎかもしれないが。
←ダム湖 崖→
これは酷い(笑)
写真で分かると思うが、道の左はストンと勢い良く落ちている。以前走った新潟県~福島県にかけての樹海ライン、あれもダム湖の外周をなぞるようにして道が造られていたが、こちらのは格が違う。
ダム湖にへばり付くとか、そんな生易しいレヴェルじゃあねえ。もはやダム湖と一体化しているじゃあないか!
いや、一体化は大袈裟だし恐らく多少の間隔はあるだろうが、ガードレールも無い以上そう思わざるを得ない。岐阜県パネェな。
車両を寄せ付けぬ鉄壁ゲート
そして笠置ダム到着。
木曽川流域の恵那市と瑞浪市に位置し、関西電力が管理する重力式コンクリートダムだ。最大41700KWの発電量を持ち、1936年に完成している。
折角なのでダムを背景に一枚パシャリ。逆光+夕暮れどきということで、色味は残念ではあるが、秘境感丸出しな感じが何とも良さみを演出していると言えなくは無い。
閑散とした雰囲気のダム脇を通る。冷静に考えてみると、こんな道路が過去には国道として活躍していたと考えると、色々とヤバく思える。
あ・・・これがまさか、例の・・・。
恵那側廃道ゲート到着。
端から端までガッチリと鉄製のゲートが施されており、車は勿論、バイク等の小型車両も通ることはかなり難しい。自転車と徒歩なら出来なくは無いかもだが。
現在地。笠置ダムから僅かに南西へと進んだ地点である。
ゲートに立て掛けられているアイテムにスポット。「通行止」の標識の右には看板が置かれている。
この先、
落石・倒木等のおそれがあるため通行止め
なお、ゲート及び施錠等を破損した場合は、
法律に基づき処罰されます
そう書かれていた。まあ、普通に考えてゲートを破壊する人間はまずいないだろう。通行することに関しては強く書かれておらず、「自己責任だよ」と読み取れなくは無い。
わーお、ものっそい味あるぅ。
所々曲がっていて変形している看板がゲートの左脇に立て掛けられている。上の看板と異なり、こちらはハッキリと立入を禁止すると書かれている。
ゲートの隙間から奥を覗いてみると、思いの外荒廃しておらず、アスファルトとガードレールが見て取れる。
まさかのトリプルコンボ。
草の生い茂るフェンスにも立入禁止の看板が設けられているとは。
さてさてさーて、この日は時間も押していた為(撮影を終えた時点で17時)、次の区間は翌日に回した。最初に出て来た武並橋の岐阜県道412号線分岐を進み、町道十日神楽線からのアクセスとなる。
いやはや、次回はどんな景色が待ち受けているのだろうな・・・。
区間②へ続く・・・
区間①
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