車の運転をしていると、走行距離が伸びてきますよね。
何百、何千キロと乗り続けていくうちに、段々と車の動きが悪くなってきませんか?
もしかしたらそれは、車にとっての「3種の血液」を交換するべきなのかもしれません。
今回は車にとっての「3種の血液」を定期的に交換することの重要性についてしっかり書いていきます。
このことをきちんと知っておいて定期メンテナンスをしていると車の寿命は格段に伸びますよ。
とても手近だけどとても複雑な機械のカタマリ
まず、車というのは機械のカタマリです。数え切れないほど多くの部品が大小詰まっています。
その機械の中には多くの場合、液体が入っています。
エンジンであればエンジンオイル、ラジエーターならクーラント、ブレーキならブレーキフルードです。
これは機械の歯車等が摩擦で摩耗してしまわないようにや、機械の冷却、力の伝達を行う為に入れられています。
もしもこのオイルや液が無かれば、歯車の摩耗が早まったり、冷却されずオーバーヒートしたり、力が伝わらず機械が動かない、といったことが起こります。
ではその車の機械の中で特に定期的に交換すべき液体とは何なんでしょうか?
それは①エンジンオイル、②クーラント、③ブレーキフルードの3種類です。
それぞれの役割についてをざっくりと説明していきます。
①エンジンオイル
「心臓」を動かす特A級に重要な液体
エンジンオイルはその名の通り、エンジンの内部に満たされています。
このオイルは機械の摩耗を防いだり、機械と機械の隙間を埋めたり、燃焼や回転で生じる汚れを洗浄します。
エンジンは車にとってコアな、人間で例えると心臓です。
このエンジンオイルを交換せずに乗り続けるとオイルは真っ黒でドロドロのコールタールのようになります。
交換したばかりのオイルは透き通っていて、適度な粘り気があります。それが劣化していくと粘り気が無くなり、車はパワーダウンし動きが鈍くなります。
更には燃費が悪くなり、長い目で見ると車自体の寿命も短くなってしまうのです。
もっと症状が悪化するとマフラーから煙が出たり、運転席のエンジンオイル警告灯が点灯したり、最悪エンジンが焼け付きエンジンブローします。
エンジンブローしてしまった車は基本的には廃車です。
せっかく車を新車で買っても、オイル交換をサボっただけで廃車になってしまうなんて勿体無いですよね。
このことからも分かる通り、エンジンオイル交換は最も重要な定期交換です。
交換の頻度
では、どのくらいの頻度で交換するのかというと、車の種類ごとにおおよそ時期が定められています。
ガソリン車
15000kmまたは1年ごと
(シビアコンディション:7500kmまたは6ヵ月ごと)
ガソリンターボ車
5000kmまたは6ヵ月
(シビアコンディション:2500kmまたは3ヵ月ごと)
ディーゼル/ディーゼルターボ車
10000kmまたは1年ごと
(シビアコンディション:6000kmまたは6ヵ月ごと)
ちなみにここで言うシビアコンディションとは、悪路や峠を頻繁に走ったり、1回の走行距離が長い場合等です。
こういった場合、エンジンに対する負荷はかなり大きくなるので、交換の頻度は上がります。
セットでやるべき!フラッシングとエレメント交換
また、エンジンオイル交換の際にフラッシングとエレメント交換も一緒にやることをオススメします。
フラッシングとは交換する分とは別に新しいエンジンオイルを使い、エンジン内部を洗浄することです。これは出来ればオイル交換毎に行って下さい。
オイル交換だけでは単にオイルを入れ換えるだけなので、エンジン内部の汚れは溜まったままです。
その汚れをオイルで洗い流すので、内部が綺麗になった状態で新品オイルを充填出来ます。
本格的にエンジン内部の汚れ(スラッジ)を落としたい場合は分解→清掃→組立のオーバーホールですが、簡単な洗浄はフラッシングで充分です。
ただお店に寄ってはフラッシングオイルというものを使う場合があります。
これはエンジン内部の汚れを根こそぎ剥がしますが、エンジン本体に良くありません。
ですので、フラッシングをする際は「エンジンオイルを使うか」聞いて下さい。フラッシングオイルの場合、エンジンを痛めるのでやらない方が良いです。
またエレメント交換ですが、これは一般的に言う「オイルフィルター」です。
オイルフィルターは言わば「ろ紙」のように汚れをこし取る働きをします。
エンジン内部を巡ってきたエンジンオイルは汚れも一緒に運んでいます。
この汚れはエンジンを動かす限り必ず出るものなので、無くすことは出来ません。
汚れがあるまま、またエンジン内部を巡っては壁面等に汚れが溜まるので、フィルターでこし取るのです。
大体このオイルフィルターはオイル交換2回に1回が目安と言われています。
1回ごとでも勿論構いませんが、そんなに簡単にろ過能力は下がりませんし、お金が勿体無いです。
ですので、オイル交換する際はフラッシングとエレメント交換も行うようにして下さい。
②クーラント
常に機械を冷却し続ける働き液
クーラントとは冷却水のことです。
冷却水はタンクに入っていて、それがエンジン本体の冷却やエンジンオイルの冷却に使用されています。
冷却に使われた冷却水はエンジンルーム前方に付いているラジエーターによって冷やされ、またタンクに戻ってきます。
この冷却水を換えずに乗り続けるとラジエーターの配管が詰まりオーバーヒート、最悪エンジンブローします。
最近ではLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれる冬でも凍らない冷却水が一般的です。
交換の頻度
最長で2年持つと言われてはいますが、基本的に1年を目安に交換して下さい。
特に関東等、夏場30℃以上になる場所ではエンジンにも過度な負荷が掛かります。
その為冷却水が劣化していると、充分な冷却効果が得られず、オーバーヒートやエンジンブローに繋がる恐れがあるのです。
気温が高い地域では必ず、毎年夏を迎える前に交換するように心掛けて下さい。
③ブレーキフルード
ブレーキとペダルを繋ぐ制動の命綱
ブレーキフルードとはブレーキ本体に力を伝達する役割を持つオイルです。
車のブレーキはブレーキペダルから本体までをブレーキホースで繋ぎ、その中にブレーキフルードが充填されています。
このように力の伝達を液体で行う仕組みを油圧と言います。つまり車のブレーキは油圧式です。
フルードのお陰でドライバーがブレーキペダルを踏んだとき、ブレーキが効き制動されるんです。
フルードの弱点は「水分」
しかしこのブレーキフルードには大きな欠点があります。それは吸湿性があるということです。
吸湿性というのはオイル自体が徐々に水分を含んでしまうことを言います。
問題なのはこの水分がブレーキ本体に錆を発生させてしまうことなんです。
錆が発生してしまうと、ブレーキフルードのオイル漏れが発生しやすくなります。
ブレーキフルードは塗装や金属に対して強い攻撃性がある為、フルードが掛かった場所がボロボロになってしまいます。
更にオイルが漏れると油圧としての効果が下がり、力の伝達が上手くいかなくなるので、ブレーキが効きにくくなってしまうんです。
交換の頻度
このブレーキフルードの交換時期ですが、1年もしくはタンクの液が黒ずんで来たらです。
ブレーキフルードもエンジンオイル同様、交換したばかりだと透き通った色をしていますが、使用しているうちに汚れてきます。
車検(2年毎)でも問題無いと言えばありませんが、例え走行しなくてもフルードは空気中の水分を含んでいきます。
水分を含むと上記のように上記のようにオイル漏れが発生し、修理費用がべらぼうに上がるので、目安は1年が望ましいです。
液が透明でも要注意!「エアを噛む」とは?
また、ブレーキフルード内に空気が混入することがあります。
簡単には入り込みませんが、ブレーキ本体をオーバーホールした時等、作業が原因で混入したり、長い下り坂でずーっとブレーキを引きずったまま走るとフルードが沸騰して気泡が発生する「べーパーロック現象」で入ったりします。
こうなってしまうと、ブレーキ本体とブレーキフルードの間を空気が邪魔してブレーキが効かなくなります。ブレーキペダルを踏んでも空気が圧縮されてしまい、フルードが本体まで届かなくなってしまうんです。
俗に言う「エアを噛んでいる」状態です。
非常に危険なので、もしフルードの色が透き通っていて換える必要が無くても、エアを噛んでいると思ったら迷わず整備工場でエア抜きをしてもらって下さい。
いざというときにブレーキが効かないのは本当に命に関わります。
終わりに
今回挙げた「3種の血液」は車の定期交換すべき液体系の中でも最重要と言える部分です。
もし愛車を大切に、長く乗りたいとお考えなら、エンジンオイル、クーラント、ブレーキフルードは車検ごとでは無く、短めのスパンで定期的に交換することをオススメします。
終
相棒TTと撮影したオススメスポットを地図にまとめています。
良ければ愛車と写真撮影する際の参考にして下さい。
記事内にイチオシスポットも挙げて幾つか紹介しています。