日本には数々の絶景スカイラインがある。
海、山、川、街、森・・・狭い国土ながら四季がハッキリしていることもあって、その種類は多岐に渡るのだ。
そんな絶景の中でも、まるで海外のように広大で迫力ある絶景パノラマが福島県にあるというのをご存じだろうか?
磐梯吾妻スカイライン
福島県北中央部には裏磐梯と呼ばれる高原状の地域がある。磐梯山、安達太良山、吾妻山と言った山々が含まれ、磐梯朝日国立公園の一部にも指定されている。
山の他にも桧原湖、小野川湖、秋元湖の裏磐梯三湖など、観光地としての人気が非常に高い風光明媚な場所なのだ。
山岳道路がかなり充実しており、磐梯吾妻レークライン、磐梯山レークライン、西吾妻スカイバレーと愛称を設けられた景観の優れた道路は一走の価値ありと言えるだろう。
その山岳道路の中でも最も代表的かつ人気なのが、福島県福島市を通る福島県道70号福島吾妻裏磐梯線、磐梯吾妻スカイラインである。
高湯温泉から土湯峠までのトータル28.7kmがこの磐梯吾妻スカイラインに指定されており、元は有料道路で通行料が徴収されていたのだが、2013年に料金徴収期間が満了し、恒久無料化されたのである。
この道路最大のハイライトは、中間付近に位置する一切経山と吾妻小富士に囲まれた湿原である浄土平からの景色だ。
・・・というより、この浄土平に磐梯吾妻スカイラインの全てが凝縮されていると言っても過言では無い。
まさに、日本とは思えない程素晴らしい景色、そのレポートをご覧頂きたい。
絶景への招待
現在地は浄土平レストハウスすぐそば。
ご覧の通り一帯は雨が降りしきり、ヘビーウェットな状態だ。
前日深夜に千葉県を出発し、下道で走り続け、4時台には福島県入り。夜間から雨は降り続けており、洗車したはずの相棒TTは泥で薄汚れてしまい、不知火の気持ちは若干ブルー気味になっていた。
・・・のだが、
!
なんだこの誘われる感は・・・
左手背後にひょっこり顔を覗かせる稜線を見てくれ。気分はまさしく抑えてる状態「絶景」への招待だ。
!!
ドラレコ左手、明け広がる平坦こそ浄土平だ。走りを進め、近付くに連れて全貌が明らかなる。さっきまでブルーだった不知火のテンションはいつの間にかオレンジ(テンション高)へとグレードアップしていた。
!!!
やばいよやばいよ・・・
もはやアドレナリン全開。テンションゲージがはち切れそうなくらい。
さあお立ち会い。まずは最初の絶景写真をご覧頂こう。
「雨」というスパイスが魅せる絶勝
壮大、そして繊細なパノラマ
広がる湿原、連なる山々、濡れ豊かな色彩・・・。
思わず言葉を失った。壮大でありながらも、繊細なタッチで表現された絵画のような絶勝。明らかに現実なのだが、どこか夢幻に感じてしまうほどに素晴らしいものと言えよう。
その景色は海外と言われても信じてしまいそうなレベルであり、まさにいつまでも眺めていたくなるような壮観さである。
ヘアピンカーブを曲がり下り、浄土平ストレートに差し掛かる。
間髪置かず、次なる絶景写真をお見せしようじゃないか・・・。
雨に駆ける
沈むように溶けてゆくように滴る雨粒。
無意識のうちに二人(不知火と相棒TT)今「雨」に駆け出してしまいたくなるのは、生の風景を目にした者だけが沸き出る衝動なのだろう。
美しさの境地とは何か?それはいついかなるときにおいても変わらぬ魅力を放ち続けることだ。
およそ雨というのは風景写真においては天敵だ。晴れていればさぞ絶景だっただろうに・・・と嘆く景色というのは少なくない。
が、しかし、今一度不知火が撮影した浄土平の写真を見やって頂きたい。しとしと雨が降り注いでいるが、失敗写真に見えるだろうか?
違うはずだ。晴れとは全く異なるアプローチで磐梯吾妻スカイラインの浄土平という地の美しさを物語っていると言えよう。
雨の中悠然と立ちはだかる山脈、その様子はまさに雨をものともしない、不動の絶景を描き示していたのである。
雲間から覗く「ビーナス」
垣間見える青空の下で
ストレートを進み詰める。
山の姿が徐々に大きさを増し、同時に迫力が増してゆく。
ちなみにここ浄土平区間は硫黄臭とも形容される硫化水素の発生地帯なので、窓を閉めていても卵のような臭いがガッツリ入り込んで来る。普段の濃度としては「鼻でハッキリと認知出来る」ことから、極度に危険という程でも無いので、同じ場所に10分とかいなければまず大丈夫だが、有毒ガスに変わりは無いので撮影したら素早く立ち去るのが無難だ。
ただし、もし噴煙を上げる地点の方角から風が吹いているにも関わらず、硫化水素の臭いがしない場合は話が変わってくる。恐らく、濃度が「鼻で認知出来ない程高い」為、絶対に駐停車せず、車から眺めるだけで立ち去って頂きたい。まあ、今際の際の景色をここに選ぶのなら別だが・・・。
浄土平ストレートを右に曲がるとまたもやストレート。
しみじみ思うが、ここまで強烈な大自然の火山帯を間近で見ながらドライビング出来るというのは感動極まりない。
すぐ左手に迫る山肌。
落石防止用の防護柵が設けられており、安心感と共に緊張感が増す。
・・・ふと空を見上げると雨が・・・止んでいる!
さっきまで絶望的なくらい降っていた雨がピタリと止み、辺りを見回すとうっすら青空が見えていたのだ。
吾妻小富士、一切経山といった山々を含めた吾妻連峰。その裏側を見る。
雄々しく荒涼とした斜面にポツリポツリと生え添える植物が、良い塩梅で彩りを与える。
これぞ不知火が追い求めていた絶景スカイラインだ。個人的には新緑美しい山々や、広く見渡す海原のスカイラインよりも、こういった風景がドツボなのである。
全方位絶景領域
雨が止んだということは、さっきとはまた異なる絵が撮れるはず。
そう思いながらUターンし、浄土平ストレートへと相棒TTを走らせる。
雨が止んだと言ってもそれはまだ十数分前の話。
山であるから気温も低く、太陽光線がビシビシ降り注ぐ訳でも無い為依然として路面はウェッティ。アホみたいに飛ばせばスリップして壁に刺さるか、ガードロープにダイレクトアタックして崖下への人生ログアウトをキメることになるだろう。
・・・そうならないように、しゃかりき走ったりせず、粛々と早朝の磐スカを流していく。
往路と復路で景色が異なるというのは当然のこと。
往路なら美しい景色、復路なら美しい景色・・・なんてこともあるだろうが、言うまでも無く、ここ磐梯吾妻スカイラインの特に浄土平は往路も復路も見事だ。
どこをどう切り取っても映えるし、その全てがハイライト。
つまり、全方位絶景領域、だ。
ドラレコにも青空が入り込んでいるように、天候は回復しつつある。
雨で撮る絶景もそれはそれで良きだが、なんだかんだ言っても止んでくれた方が有難い。
この気持ちのいいストレート、次は是非ピーカンの下で駆け抜けたいものである。
九十九折れを経て、山へ登っていく。
予め事前に目星を付けていたポイントがあったので、そこへ向かっている。間違いなくその場所は磐梯吾妻スカイラインを代表する一枚に成り得る、と。
到着。
自身の中でこの道最高の一枚をお披露目したいと思う。
空と山が奏でる二重奏
天国と地獄
立ち込める臭気、荒々しく伸び広がる山々、折り重なる九十九折れ・・・。
「浄土平」と名付けられた天国とは裏腹に、噴気極まる地獄の風景・・・。
もはや、退屈に殺される前に天国と地獄を数える必要など無い。なぜなら目の前にはまさしく天国と地獄が開け広がっていたからだ。
このときの不知火の脳内にはライブステージにて甘くハイトーンボイスで歌い上げるボーカルギターの斎藤(天国)と、コーラスとソロ以外は常に激しく動き回り荒ぶっているベースの田淵(地獄)の図が再生されていたのである。
斎藤とか田淵とか、不知火が何言ってるのか分からない方はUNISON SQUARE GARDENのライブビデオをご覧頂きたい。曲名はまさに「天国と地獄」。
一粒で二度美味しい浄土平
TTは美しい。
理知的でありながら、野生的でもあるエクステリアを纏うアウディTTは、どのような風景ともベストにマッチする。ただの1つも合わぬスポットなど存在せず、配するだけでその全てのスポット写真をドラマチックに物語り、脳裏を刺激するのである。
・・・というのはあくまで不知火の親バカ的TT評価なので、皆さんの愛車で思い思いの写真をカメラに納めて頂きたい。
アスファルトが乾き始めた浄土平ストレート。
青空がハッキリと見え始め、風景に青という色彩が加わる。
連なるように重なり合うヘアピンは、走りを楽しむ要素は元より、その風景に何気無く装飾を与えているとも言える。
吾妻連峰を仰ぎ見ながらの浄土平ストレートで渾身フォト。
雨であれだけ美しいのだから、止めばさぞ撮り甲斐も倍増するだろうと思っていたが・・・もはや期待以上だ。
雨でも雨じゃなくても楽しめる、まさに一粒で二度美味しいスポットの浄土平と形容出来るだろう。
終わりに
「うつくしま」が誇る磐梯吾妻スカイライン。
その雄大さは写真などでは到底伝え切れるものではない。
足を運んだ者だけが味わえる絶景の特権。どんな天候でも決してハズレることの無い、広大なパノラマを是非ともその目で確かめて頂きたい。
終
相棒TTと撮影したオススメスポットを地図にまとめています。
良ければ愛車と写真撮影する際の参考にして下さい。
記事内にイチオシスポットも挙げて幾つか紹介しています。
今まで訪れた秘境スポットを地図にまとめています。
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僕が行ったことのある観光地をマイマップにまとめました。
観光地についてもそれなりに行っていますので是非見てみて下さい。