【整備記録】アウディTT(8J)のスパークプラグ交換方法

【整備記録】アウディTT(8J)のスパークプラグ交換方法
 

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愛車の整備。

 

してみたいと思っても、失敗したらどうしようという思いが先行し、なかなか手を出せない方もいらっしゃるでしょう。

 

特に輸入車は中身が複雑な為、下手に弄ると「大火傷」・・・なんてこともあり得ない話ではありません。

 

それでもやってみたい、という方向けに今回はアウディTT(8J)のスパークプラグを交換したときの整備手帳を書き留めたいと思います。

 

ちなみにTT(8J)は型式までは分かりませんが、アウディA3、フォルクスワーゲンGOLFともプラットフォームを共有している部分が多いので、手順は流用出来るはずです。

①エンジンカバーの取り外し

最初はホース部2箇所から

さて、では始めていきましょう。ボンネットを開けて、エンジンカバーから外していきます。

 

図にあるように、①②スプリングクリップがエアフローメーターのカプラーがエアパイプのジャバラダクトを留めているホースクランプがエアパイプを留めているビスとなっています。

 

最初に外すのは④と⑤に該当するエアパイプです。

 

手に持っているのがエアパイプ本体です。これは外さなくても作業出来るのですが、正直邪魔なので外します。外し方は2箇所のビスをプラスドライバーで緩めて抜き、ホースクランプを水道工事などで使うプライヤーで掴んで緩め、ジャバラダクトを手前側に引き寄せてエアパイプを取り外します。

 

ホースクランプは割と固く、プライヤーで掴む場所を間違うとプライヤーのロックが抜けてなかなか外せないです。

 

僕が使ったプライヤー。楽天市場で1000円台で買ったと思いますが、整備や日常生活で欠かすことの出来ない重要な工具です。

 

 

 

エアパイプを外したら、次は①②と③に該当する吸気パイプを外します。①②のスプリングクリップは手で簡単に外せます。矢印の付いている側にロックがあるので、解除します。

 

③のエアフローメーターのカプラー。というかカプラー全般に言えますが、ロック部分がプラスチックで出来ていて脆いので、ドライバーで一気にやるとロック部のツメがもげます。実際一度ヘッドライトユニットを脱着した際、ドライバーで外そうとしてツメが壊れたことがありました。まあ、ロック部のツメが無くてもカプラーが外れることはありませんでしたし、ディーラーでカプラー交換してもらったので今は元通りですが。

 

カプラーは外すとき慣れが必要ですが、何とかなると思います。「ならんわ!」という方の為に後程楽な方法をお教えします。

 

はじめの難所、エンジンカバー外し

ホース2箇所を取ったところで、エンジンカバーだけの状態になりました。ですが、ここがぶっちゃけくっそ大変です。

 

エンジンカバーはビスなどで留まっていない為、上に引き上げれば外れるのですが、まーーーーーーあ、外れません(笑)。

 

上の図の①②③④の真下にゴムブッシュがあり、そこに突起が納まり、カバーを固定しているのですが、車を買って数年経つとゴムの劣化や油、埃によって溶接されてるんじゃないかってくらいにガッチリくっついています。マジで腰が抜けるかと思うくらいに、です。

 

手順は上に示したように「北側」を持って上に引き上げ、②③を外し、「西側」を持って④を外し、「東側」と「南側」を持って①を外すという流れです。ただ、気温が36℃ある夏の炎天下ですら固着が酷く、時間が掛かりました。こればっかりは全身全霊、本気で引き上げて下さい。

 

1つ、魔法のアイテムをご紹介しましょう。「5-56」でお馴染み、呉工業が出している「シリコンスプレー」です。これを使うと幾らか楽に外すことが出来ます。

 

エンジンカバーの下側を見ると、4箇所のゴムブッシュがあるので、そこの外周、出来れば突起とブッシュの境目辺り目掛けて吹き掛けて下さい。そしてカバーを力一杯上下に揺すります。こうすることでシリコンが突起とブッシュの間に入り込んでいき、徐々に滑りが良くなり、外しやすくなります。

 

外した後は、ゴムブッシュに満遍無くシリコンをスプレーしておきましょう。次回エンジンカバーを外すとき、びっくりするくらい楽に外せるようになります。

 

はい、これでようやくエンジンカバーが外れました。カバーの裏にはエアクリフィルターも入っているので、意外に重量があります。

②スパークプラグまでの取り外し

地味に面倒コネクターレールのカプラー

カバーを外すとこんな風になっています。順序としては、コネクターレール固定ボルトをドライバーで外し、コネクターレールに繋がっているカプラーを4箇所抜き、1~4番のイグニッションコイルを取り外します。

 

何気にダルいのが、コネクターレールのカプラー4本です。

 

外せばいいんでしょ?と思われるでしょうが、そうは問屋が卸しません。今までのカプラーは引き抜く力を掛けられるだけのスペースがあったので楽でしたが、今回のはストロークが非常に短い中、しかも他のカプラーのように手前(自分の方向)に引けないので、コツが要ります。

 

僕はそんなに力が無いので、色々考えた挙句、「紐」と「ドライバー」を使いました。これがさっきちらっと書いた「楽な方法」です。紐はたまたま助手席に入っていた化学繊維のを使いましたが、力を入れても切れなければ素材は何でも良いです。麻紐はボソボソするので、太めのタコ糸なんかが適しているかもですね。

 

整備からだいぶ時間が経っているのでハッキリ手順は覚えてませんが、写真のように紐をツメに通し、上に引き上げながらドライバーを端子の隙間に入れ、ドライバーで奥に押し込み外したと思います。

 

とりあえずこれでコネクターレールは取り外せました。

 

超難所ギックリ腰案件!イグニッションコイル引き抜き

・・・もう見出しから分かると思うんですが、恐らくエンジンカバーどころの難易度ではありません。ここが本気でギックリ腰+病院直行案件です(笑)。

 

いや、ギックリ腰は大袈裟か・・・。兎に角、スパークプラグ交換でイグニッションコイル引き抜きが一番疲れます。

 

何故なら、コイルの真下ダイレクトにスパークプラグがあり、エンジンオイルがコイルの入っている筒の壁面にへばり付いていて、これまた溶接クラスの接着度合いなので、腕でどうこうという話ではありません。しかも、あんまりにも力を入れて引き上げると、今度はコイルがスポーンと吹っ飛び、エンジンルーム内に落ちます(というか僕がそれやらかしました(笑))。

 

分かり辛いと思うんですが、写真撮ってるどころでは無かったので、さっきの写真に描き込んで解説します。先程出て来た、「糸」や「プライヤー」がこのチャプターでも大活躍します。

 

コイルとカプラー(コネクターレール側)が結合していた部分は少し出っ張っています。そこに糸をくぐらせ、1重に縛り、プライヤーで輪にした糸を掴み、エンジン本体をテコの支点として引き上げます。そう、上方に引くのが無理なら、テコの要領を使えば良いんです。この方法使うと固着したコイルもだいぶ楽に抜けます。が、あんまり本気でテコするとコイルが抜けた拍子に宙を舞い、ボトリと地面に落ちます。僕の場合、前述のようにエンジンルーム内に入りましたが(笑)。

 

③プラグ脱着

簡単にトルクレンチの説明

イグニッションコイルも引き抜きました。

 

ここまで来ればあと少しです。と、その前にここではトルクレンチを使います。トルクレンチは一般的なL字レンチや十字レンチと違い、目盛りで掛けたいトルク(力)をセットし、どんなに力一杯締めても、設定したトルク以上は回らない、つまりは空転して締め過ぎないように作られているレンチです。主にタイヤ交換で真価を発揮するアイテムですが、プラグ交換においても重宝します。

 

トルクレンチは何買っても大丈夫ですが、ついでですしTTのタイヤ交換が出来るくらいのもの(130N・M)は設定出来るのを買っておくと便利です。というか一般的に売ってるのは130くらい軽くカバーしてるので、そこまで考えなくてもOKです。

 

不知火は下のトルクレンチをずっと愛用しています。デザインは変わっていますが。

 

 

 

どっちかってーと、トルクレンチ本体よりも、エクステンションバーとソケットの方が重要だったりします。

 

プラグは割と気筒の奥深くに入っているので、エクステンションバーが無いとプラグまで届きませんし、ソケットの寸法が合っていないとプラグを掴めません。

 

エクステンションバーは150mmでピッタシ入りましたが、念の為もう少し長めのがあると作業がしやすいです。

 

ソケットサイズは16mm

こちらがソケットです。ソケットはプラグとレンチ(又はエクステンションバー)を繋ぐ役割をしていますが、ソケットサイズと角ドライブが合っていないとダメです。

 

写真のようにソケットサイズは16mm、レンチ側の四角い穴の角ドライブは12.7mmを選びました。角ドライブは買ったトルクレンチに依存するので変動しますが、ソケットサイズは16mmで固定です。

 

また、磁石機能が付いていると、プラグのターミナル(後述)が金属なのでソケットに入れたとき落下せずに済みます。

 

いくつか呼び方があって、プラグレンチと言ったりもします。不知火が買ったのは↓です。

 

 

 

古いプラグを抜く

プラグを抜くときの写真は無いのですが、何ら難しくありません。トルクレンチにエクステンションバーと16mmソケットを装着し、左側に捻って抜くだけです。ものの3分で終わります。

 

回転角度に要注意!プラグ装着

TT(8J)に適合するプラグを調べて今回買ったスパークプラグはNGK SPARK PLUGSの「BKR6EIX(4本入)」です。TT(8J)の割とスタンダードモデルで、プラグがイリジウムになっているので、10万キロは余裕らしいです。

 

公式サイトに行けばプラグの各部名称は沢山載っていますが、ここで使う単語は「電極」「ガスケット」「ターミナル(端子)」の3つだけです。

 

電極は文字通りスパークして着火させる為の箇所、ガスケットは気筒内部と外界を塞ぎ、燃料ガスが漏れないようにする重要な箇所、ターミナル(端子)はイグニッションコイルと接続し、電気が供給される箇所です。

 

参考:NGK SPARK PLUGSプラグスタジオ(プラグの取り付け方)

NGK SPARK PLUGS公式サイトによれば、新品のプラグを取り付ける際重要になってくるのがトルク、もしくは角度です。どちらを使っても良いのですが、僕は角度でやりましたので角度のやり方で進めます。

 

「BKR6EIX」のターミナルネジ径はφ14mmなので、回転角は180°~240°。これは新品の場合なので1回外して同じものを付け直す際は異なります。180°で良かったんですが、角度を誤って少ないと大変なので、間を取って210°くらい回しました。

 

あと、回転角は必ず180°~240°の間でやって下さい。ここを適当にやるとマジで車終わります。角度が少な過ぎると電極が破損することがあり、逆に多過ぎるとプラグが変形したり金具がネジ切れてしまったりします。最悪エンジンを突き抜け、ブローするケースもあるでしょう。

 

不知火は分度器のようなものを持ってなかったこともあって、210°という安全マージンを選びました。

 

キッチリ締め付けたら、部品を外したときと逆の手順で組立て下さい。

 

終わりに

スパークプラグ交換は一見難しそうに思えますが、意外と「交換自体は」簡単です。大変なのはエンジンカバーとイグニッションコイルの引き抜きなので、そこさえクリアしてしまえば「こんなもんか」ってくらいスムーズに出来ます。余裕がある方は是非この記事を参考に交換をしてみて下さい。

 

整備記事は反響があれば今後も書いていきます。最も、簡単な整備しかしてないので笑われてしまうかもですが。

 


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