「ダム有るところに廃道有り」
誰が言ったか、廃道マニアの中ではもはや暗黙の了解になっている事柄である。まさに言い得て妙、その通りだ。
闇雲に数多ある道路を探し回るより、そこそこ交通量のある道路に置かれているダムを目指して行くと案外呆気無く廃道が姿を現す。
前文で察した方もいらっしゃるだろうが、今回はダムと関係性が非常に深い廃道、それもダム湖に向かって水没していく衝撃的な廃道をご紹介したいと思う。
水没千葉廃県道24号線
垣間見えるかつての道
「スカイライン」という名前を持ちながら、走ってみると全く「スカイライン」じゃないガッカリ道路、房総スカイラインから濃溝の滝方面に向かおうとすれば、否応無しで走ることになるのが件の千葉県道24号線である。
すぐ東には片倉ダムがあり、幾重にもうねりを見せるダム湖がある。そのダム湖の名前は笹川湖。千葉県道24号線の旧道を飲み込んだ湖で、傍らには道の駅があり、憩いの場として立ち寄るドライバーは多い。片倉ダムに続いており、ヘラブナやバス釣りが出来るようボートの貸し出しが行われている。
現県道24号線を走行していると僅かにかつての旧道の姿が見える。
観光地としても人気、片倉ダム
こちらが片倉ダム。小櫃川水系に当たる笹川に建設されたダムだ。
元々小櫃川流域では豪雨による被害が度々起きていた。1958年、1961年、1970年というロースパンの間に大規模な洪水が発生し、数十億円という被害総額にのぼった年もあった程だ。被害は雨に限らず旱魃によるものもあり、農業従事者にとっては大変な地域だった。一方、周辺地域は都市化していき生活用水の必要量が増え、ダムの建設はもはや不可欠となる。
周辺住民との話し合いを重ね1993年に合意、ダムの建設工事が開始。1994年からダム本体工事を着工し2000年に完成、同年12月には湛水が始まる。2002年からダムとしての正式な運用が開始された。
そしてその笹川湖には湖の水位が上昇したことにより、水没した廃道が残っている。
そんな濃すぎる廃道、僕が行かない訳にいかないジャマイカ!
いざ行かん、藪に閉ざされた道
バリケードに仕切られた入口
左手に走っている道が現県道24号線。そして白点線で区切られた右側、つまり僕の相棒TTが停められている側が廃県道24号線だ。バリケードで道が塞がれ、明らかな廃道臭を漂わせている。
においますな~この先にとんでもない光景が待ち受けている感がムンムンですぞ。
湖畔に沿う道を進んで行くと突如藪に覆われた廃道へと変わった。廃道化から僅か10数年でさながらジャングルのような姿に変貌するのだ。辛うじてセンターラインは残っているものの、ガードレール脇やアスファルトからは樹木が繁茂し「道」としての役割を完全に終えてしまっている。
時期は8月、真夏。とかく藪がエグイ。夏場の房総半島の名物と言えば藪とヤマビルだとその界隈では囁かれる程有名で、秘境探索者に立ちはだかる。下がアスファルトである為、剥きだしの土の上を歩かない限りヤマビルは出て来ないが、それを差し引いてもお腹一杯になる程の藪に、少々食傷気味である。
これこれ、これですよ、お兄さん!
廃道の良さというのはやはりこういったところにあると言えるだろう。かつて使われていた時期の面影、廃棄され自然に溶け込みつつある味付け。この2つが合わさって「廃道」というモノが完成するのだと僕は思う。
迷う要素も無く、道に従いながら進んで行くと・・・・
静かに身を沈める道
時は唐突に訪れた
OH・・・ファンタスティック・・・
インパクト特大。
どれくらいのインパクトかというとスーパーに金塊が売られていたときくらいのインパクト(笑)
ものの見事に湖水に向けて道が沈んでいる。
緩やかに、しかし確実にかつて県道だった道が水没していた。
転がる側溝の蓋や流木が「廃」の色を濃くしているようにも感じる。
アスファルトと共にガードレールまでもが水に浸っていた。
廃道というとやはり山奥が一般的だが、「水」という物質に支配されることでまた違った表情を見せてくれるのだ。
この日も釣り人達がボートに乗りヘラブナやバスを釣る姿が散見された。そんな中茂みをかき分け現れた僕は相当異質な人物に見受けられることだろうな・・・。
終わりに
廃道の中でも水没廃道というのはかなり味が濃く、普段見慣れた廃道と異なる姿を見せてくれた。かつて県道として活躍したこの場所は今日も静かに湖に浸かっている。
終
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