【新潟県】【廃鉱山】秘境森奥に在りしはさながら古代遺跡!持倉鉱山跡

【新潟県】【廃鉱山】秘境森奥に在りしはさながら古代遺跡!持倉鉱山跡


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不知火は古代遺跡のような廃墟が大好物だ。

 

建物の外観の大部分が喪失し、骨組みだけとなった姿を美しいと思うか、もの哀しいと捉えるかは人それぞれだが、少なくとも僕はその類いの建築物を前にすると狂喜乱舞する。

 

滋賀県の土倉鉱山跡千葉県の鋸山吹抜洞窟といった、まさに遺跡のような空間感動を通り越して茫然としてしまう程である。

 

そんな不知火垂涎の古代遺跡のような外観の鉱山跡が新潟県の山奥にあるというのはご存じだろうか?

 

持倉もちくら鉱山跡

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

新潟県北東部に位置する阿賀町あがまち五十島いがしまは952㎢の面積を持ち、県内3番目の順位を誇りながら人口は約1万人という典型的な田舎町だ。

 

磐越自動車道や国道49号線によって、福島県とも接しており、隣県との繋がりも深い町と言えよう。

 

その阿賀町に、阿賀野川水系の五十母いそも川が流れており、川沿いに位置しているのが本レポート紹介物件、持倉もちくら鉱山跡である。

 

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

ミックンさんが書かれている「持倉鉱山 関連記事」によると江戸時代の承応元年(1652年)に十郎右衛門が持倉を採掘したのが始まりとされ、当初は銀鉱床があったことから「持倉銀山」とされていたようだ。

 

その後明治37年(1904年)、寺田助松が銅鉱床を発見、明治39年(1906年)に小出淳太が同地を買収し「持倉銅山」として正式に稼働が始まった。この銅山時代の建物遺構が現在「持倉鉱山跡」の名で知られているということだ。銅山は大正9年(1920年)まで採掘され閉山、最終的には五十島鉱業が昭和37年(1962年)まで蛍石を採掘し、完全に持倉鉱山としての役目を終えた。

 

簡単な概要説明はこれくらいにして、探索レポートをお送りしていこう。見応え抜群な鉱山遺構を特とご覧あれ・・・。

 

相棒TTダートアタック

怪しさ満点な林道ファーストインプレッション

五十島集落地帯を抜け、五十母川の横を縫うようにして通る1本の田舎道。現在不知火はその道を南下中だ。

 

一応離合すること無く対向車をやり過ごすことが可能な道幅だが、恐らく大体のドライバーが「ちょっと気を使う」レベルの道幅、と形容出来ると思う。

 

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

やがて新潟県道17号線のT字路とぶつかることになる。

 

ぶっちゃけ、他に書くことは無い。

 

T字路を右折。

 

新潟県道17号線は主要地方道でもある為、そこそこの交通量があるかと思い、一時停止後、慎重に左右の確認を行い、曲がって行く。

 

だがその思いは杞憂に終わることになる。

 

うわ、めっちゃ静かやん。

 

てっきり軽トラの1台くらい出逢うかと思っていたが、交通量の「こ」の字も無い。まあ恐らくたまたまだろうが。

 

五十母川上に架かる1車線の橋を渡り切り、持倉鉱山方面への分岐が現れる。

 

Googleストリートビューでもトレース出来ない為、ここからは出たとこ勝負・・・!

 

1車線なことは予想通りか。

 

対向車が来ることはまず無いと思うが、万が一ということもある。飛ばすのは控え、「大人しく」進むことにする。

 

分岐・・・?

 

航空写真で予習した限り、このまま直進するのが正解なはずだ。仮に間違っていても、後退すればいいだけの話なんだけども。

 

また五十母川を上に架かる橋か。記事序盤でここまで「五十母川」というキーワードが挙がるとも思わなんだ。

 

言っておくが、別に五十母川LOVEな訳では無い(聞いてない)。

 

またも分岐・・・。しかしこっちの分岐は恐らくさっきの小さい分岐と違い、道を誤るとOUTな類いだろう。

 

一旦相棒TTから降りて周囲をチェックする。

 

さあて、正解はどれかなぁ~、方角的には←か↑だと思うが。

 

ちなみに相棒TTのラゲッジルームに凄まじい量の荷物が詰め込まれているのは気にしないでくれ。不知火が単独で県外車中泊兼探索を行うときのデフォルトなのだ。寝る場所が運転席か助手席か後部座席か荷室かはそのときの疲れ具合とその後のスケジュールに寄るが、最近はちゃんと荷室にエアマットを敷いて横になることにしている・・・。

 

・・・という能書きは置いておいて、写真左手に1本の木棒がニョキっと生えているな。

 

林道持倉線

 

しっかりはっきり明記されているじゃあないか・・・!ということは間違い無くこの先に伸びる道が鉱山跡へと通じる林道だ。

 

その林道持倉線入口。

 

いきなりダート、しかもセンターに草が伸び、水溜まりが散見されている。これは・・・対処を誤ると泣きを見るパターンだぞ・・・。

 

一見不気味さは成りを潜めた明るいダートのようにも思えるが、不知火的には怪しさ満点なファーストインプレッションと言った感じだ。

 

なんてフニフニ言っていてもしょうがないので、腹を括り相棒TTに乗り込み、入線する。

 

林道全線は無理だとしても、行けるところまでは行っておきたいものだな・・・。

 

予想に反するイージーな入線序盤

ガタガタガタ(路面の音)・・・サササササ(草が下を掠める音)・・・ボッコンボッコン(水溜まりの穴にハマる音)♪

 

合唱かよ、と思ってしまう程多様な音が車外から聞こえてくる。運転席からでは得られる道路状況は限られてくるので、舗装林道を走るとき以上の集中力が求められる。

 

水溜まりのサイズはまちまちで、小さい物から大きい物まで色々だ。

 

透き通っている水なら水深が分かるが、こういう泥水の場合それが全く読めない為、下手に水溜まりの真ん中を通るとかなり深くて「バッコン」という嫌な音が聞こえることがある(というかあった)。

 

水溜まりの両端がストンと深く落ちているケースはあまり無く、大抵緩やかに中央に掛けて深くなるので、出来るだけ溜まりと土のギリギリにタイヤを乗せることにする。

 

ここで一眼レフのお写真を一枚。

 

写真からだと簡易舗装のようにも思える路面だが、れっきとしたダート路面である。青々しく葉を携える草木が美しく、思わず暫し佇んでいた。

 

行軍再開。

 

至る所に離合用とも駐車用とも取れるスペースが配されており、対向車が来てもそこまで焦る必要は無さそうだ。

 

あ、また五十母川が。

 

いい加減五十母川という言葉に食傷気味だが、嫌でも目に飛び込んでくるのだからどうしようも無い。

 

両脇のみならず、中央からも茂る草を有する橋。

 

橋は舗装されているのだが、どういう訳か上に草が伸びているのだ。

 

流石に閉山してから半世紀以上も経過すればこうなってしまうのも必然なのだろうか。

 

ぶっちゃけ水溜まりさえ回避すれば何とかなる。

 

林道入口で感じていた怪しさはどこかへすっ飛んでおり、水溜まりのボコボコ以外は割とフラットなダートで拍子抜けしてしまった、というのがこのときの不知火の心境である。

 

・・・そう、そう思っていたのだ、このときまでは。

 

持倉線に仕込まれた刃

いつの間にか左右を覆っていた森林は消え去り、→川、←藪という比較的開けた林道へと様変わりしていた。

 

先程うんざりするほど回避した水溜まりもどこかへ行き、2本のタイヤ跡とも言えるダートが明確なガイドレールのようだ。

 

1車線の林道を走るとき、気を付けるべき点は数多あるが、その1つは転回スペースにもなる待避所を押さえておくことだろう。

 

万が一走行困難に思えたとき、無理してでも道路の障害を突破して進むべきなのか、無理せず待避所まで引き返すべきか判断する材料になるからだ。

 

うん・・・?なんか路面荒れてきてね・・・?

 

車体が受ける振動が明らかに増しており、見るとゴツゴツした岩が顔を覗かせ始めている。

 

ウェッ・・・!岩・岩・岩!しかも表面尖ってる!!!

 

不味いな、岩の高さ的にもセーフラインギリギリだ。しかも最悪なことに岩はガッツリ地面に食い込んでいるので、バカでかいスコップかユンボでも使わない限り掘り出せない。

 

万事休す、しかし、行く・・・!

 

ゴ・・・ゴゴゴ・・・ギギッギャッ・・・バキ♪

 

あ゛

 

やべ、これ完全にアンダー逝った音ですわ・・・。

 

一気に冷や汗が噴き出し、進行と後退で逡巡する不知火。

 

どうする?相棒TTの車体ダメージも確認しておきたいし、一旦降りておくか・・・?

 

ええ、勿論降りました。唐突にフェードインしたのは秘境捕獲物語管理人、不知火です。

 

探索用のベストとクライミング用のズボンを着込み、ゆっくりと落ち着いた様子も見えるが、内心車体ダメージが心配で焦って仕方ない不知火です。

 

うーむ、外観を一回りしてみた感じ、でかい被害は受けていなさそうだ。

 

フロントマッドフラップも折れてないし、アンダーカバーも穴は開いていない。不幸中の幸いというやつか。

 

この後少し徒歩で先を見てみたが、荒れ方に拍車が掛かっており、どうやらこの辺りが相棒TTでの限界のようだ。

 

記念撮影。

 

およそアウディTTに似付かわしくないような草ボーボーの林道のど真ん中で撮っているのだ。もはや「ド変態」と思われても不思議じゃあない。

 

センターの草やべぇな(笑)。

 

新潟県の雪も降る阿賀町の5月下旬だというのに、スクスクと健康的な成長を見せる草。

 

5月でこれってことは8月とかどうなるんだろうな。

 

岩の鋭さに恐れを無し、無残な敗北(後退)を強いられる不知火。

 

悲しきかな、いやしかし無謀に飛び込み、破損や事故で自走不能になるより遥かにマシだろう。

 

・・・などと自己擁護に走るが、つまるところチキンで自信が無くて撤退しているだけだ。

 

えっちらおっちらバックさせ、手頃な待避所にお尻から突っ込む。

 

仮に他車が走行しても邪魔にはなるまい。

 

ウェーダーに着替え、カメラバッグにカメラ一式を詰め、探索ベストのポケットに飲料やヒル除け、タバコを仕込み、いよいよ徒歩で鉱山跡へ向かう。

 

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

現在地。林道持倉線からすれば終盤だが、鉱山跡までの道のりで言えばやっと半分くらいだ。

 

さて、どんなドラマが待ち受けているのだろうか?オラ、ワクワクしてきたぞ!

 

リバーサイドアドベンチャー

時に臆病者こそ勝者なり

林道持倉線を相棒TTで進むも、埋まった石や岩に恐れを成し、手頃な駐車スペースに捩じ込ませた不知火。

 

まだ5月だというのに、射し貫かんばかりの太陽光に肌をジリジリと焼かれ、早くも汗が滲み出す。

 

歩き始めてすぐ、問題の路面をマジマジと見る。

 

こりゃエグいな・・・チキンに車両撤退したのは強ち間違いでは無かったような気がする。

 

いや、これさ・・・でけぇよ(笑)。

 

まさにスポーツクーペ殺しだ。UVERの曲じゃないが、時に臆病者こそ勝者だと思えなくもない。

 

こいつはこいつで繁茂し過ぎだろ・・・。

 

道路のセンターに我が物顔で居座るニョッキニョキなグラスライン草のせいか分からないが、以前相棒TTのアンダーに伸びる排気センサーケーブルのクリップが外れ、宙ぶらりんになっていたので潜ってセルフ補修したので、あまり勢いのある草の道を走りたく無いのだ。また外れたら嫌じゃん。

 

林道終点付近ともなるとこれだ。

 

道は衰弱し、タイヤの跡が残っているのみである。どうでもいい車に乗っている時くらいしか、ここまで進みたいと思わない。

 

っと、広くなったな。どうやらここが林道持倉線の終点らしい。

 

数台分の駐車スペースを残し、道がスッパリ途切れている。

 

変な柵(?)がある。

 

柵なのか何なのかぶっちゃけ見当が付かない。1本だけタイヤが干されているし、タイヤ干し用なのかな・・・?(困惑)

 

おおっと!ここで「熊出没注意 新潟県」看板のご登場だ!

 

そう、出るらしいのだ、熊が。

 

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

そしてここが現在地。こうして見ると残り区間はすぐ・・・に思えるが、

 

・・・そうは問屋が卸さない・・・。

 

山中に伸びる獣道

獣道、である。

 

林道終点ということから容易に予想出来ることではあるが、こうして改めて直面すると腰に下げたマチェットを振り回すハメになるのかな、と考えてしまう。

 

分かりますか?うっすら道が見えているのが。

 

確かに大概獣道なんてこんなもんだ。もはや踏み跡が消えているレベルの道なんてゴマンとある。ここはまだマシな方だろう。

 

濃くなるねぇ・・・。

 

サック、サックと地に生える草を踏みしめながら奥地を目指していく。

 

時折こうしてアスファルトが現れる。

 

ということは元々林道持倉線はこの先まで伸びていたのだろう。往時は鉱山跡まで通じていたようだが、崩落により消失したのだとか。

 

そんなアスファルトもすぐに見えなくなり、陰りのある場所に入る。

 

こういう場所は極力立ち止まりたくは無い。何故なら・・・まあ、すぐに分かる。

 

です。

 

・・・なんて言葉を使ってみたくもなるが、実際はそこまで密では無い。

 

似たような景色ばっかりだな・・・。

 

面白味に欠ける。仕方無いことだが、あまり代わり映えしない風景だと流石に書くことが無くなってしまう。

 

砂防ダムが見えてきたな。

 

勢いよく五十母川の水流が音を立て流れ落ちる。遠目からでもなかなかに迫力がある。

 

目線を前に戻そう。

 

相変わらずの薮を交えた獣道。太陽光が当たらないから涼しいかと思いきや、さっきから歩きっぱなしなので、汗は一向に退く気配を見せず、ダラダラと流れ地面に滴り続けている。暑い・・・。

 

ん?小川が。

 

運動靴でも優に渡れそうな、とても小さな川。そこは段差になっており、川に降りる為にパイプ製の梯子が掛けられていた。

 

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

林道終点から始まった徒歩区間も早半分を消化済。あと少しといったところか。

 

件の梯子。

 

降りてみた感じグラつきも無く、しっかりとしており安心して身体を預けることが出来た。向こう数年はこのままでも持つだろう。

 

小川を渡り、軽い段差を登るとすぐに獣道が復活する。

 

踏み跡は残されているので結局マチェットの出番は無さそうだ。

 

右を見やると砂防ダムが鎮しており、淡々と水を流す役割をこなしていた。

 

ダムの入口には柵と看板が設けられ、「危険」と書かれているが、そもそもわざわざ砂防ダムの上を通ろうとする愚者はいないと思うのだが・・・。

 

望まぬ「アレ」との再会

薮との密時間もあと僅か。

 

ただひたすらにひたむきに、黙々と獣道を進んで行く。

 

川が近い!そしてすこぶる綺麗!

 

思わずジャンプインしてみたくなるくらいの清流だ。上流になればなるほど川の水も澄んでくる。

 

ジャンプインしたい気持ちを堪え、安全に入渓可能な地点まで足を動かす。

 

この辺は岩や木の根でゴツゴツしている為、一歩一歩慎重に移動する。

 

身体の動きが大きくなるに連れ、発汗量も比例して増す。故にマメな水分補給は必須事項とも言える。

 

・・・ところで、この持倉鉱山跡までの道のり、熊以外にもアレのメッカだそうだが、まだ見ていないな・・・と思い、念の為足元に目線を動かす。すると・・・

 

ヤマビル「ご無沙汰しております、新潟県阿賀町のヤマビルと申します」

 

不知火「あ、どうもご無沙汰です・・・」

 

おるやん、ヒル坊・・・。

 

ウェーダーを着ているので、足首はガードされているし、胸元まで這い上がらない限り吸血されることは無い。とはいえ、チンタラしていると血液の支給を許してしまうので、ベストのポケットに入れた調味料ケースの塩をふりかけ、この世からご退場頂いた。南無・・・。

 

ヤマビル多そうだし、一旦手荷物はしまって移動に専念した方が良さそうだな・・・と思い一眼レフを固定していたその時、

 

あ゛・・・。

 

不注意にもゴム手袋を斜面に落としてしまった。

 

耐水、耐油、耐摩擦を誇るアトムのゴム手袋は、秘境探索初期から愛用している相棒である。故に紛失する訳にはいかず、何としても回収する義務がある。後で拾ってやるからな、相棒・・・。

 

そしていよいよ獣道もラスト。

 

段差に張られた簡易ロープを掴みながら足を川に降ろす。

 

入渓。

 

水深は浅く、長靴でも充分なくらいだ。

 

・・・では早速、相棒の回収作業に取り掛かる。

 

手袋を落としたポイントまで戻り、斜面を見上げると、臙脂えんじ色の手袋が転がっていた。

 

川に浮かぶ手頃なぼっこ木の棒を掴み、手袋目掛けて突っつく。

 

回収成功。

 

救助者であるぼっこと被救助者である手袋の図だ。これでほっと一安心。良かったぜ、相棒・・・。

 

ここらで一服付けるか・・・。

 

川の中はヤマビル奇襲の心配も無いのでゆっくりとモクタバコをやることが出来る。この日はブラックスパイダーのアイスバニラとチェリーコーラ、写って無いがガラムスーリヤ缶を持ってきた。やはり山に潜って吸う1本は格別だな・・・。

 

五十母川を見渡す。

 

この辺りは流れも随分穏やかで河原で昼食を取りたくなる。まあ熊の危険がある以上、あまり無防備な姿を晒しているのは不味いかもしれないが。

 

ジャブジャブ、と川の水を掻き分け上流側へと進むこと数分、念願とも言える「御姿」が眼中に飛び込むことになる・・・。

 

!!!

 

左上に写っている武骨な灰褐色の建造物、これが、もしかしなくてもっ・・・!

 

持倉鉱山跡、到着・・・!

 

・・・続く

 


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