【千葉県】【秘境】残念度は千葉トップ!?南総里見八犬伝ゆかりの地、滝田城址

【千葉県】【秘境】残念度は千葉トップ!?南総里見八犬伝ゆかりの地、滝田城址


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南総里見八犬伝。

 

江戸時代に滝沢馬琴によって執筆された、超大作小説である。

 

かなり歴史の古い物語でありながら、現代においてもこれを原作として、アレンジされた作品が数多く生み出されていてアニメは元より、2006年にはTBSでタッキーこと滝沢秀明が主役を演じるテレビドラマが製作され話題を呼んだ。かくいう不知火も、当時そのドラマを観ていて、強く印象に残ったことを覚えている。

 

そんな里見八犬伝、実は舞台となった場所が千葉県にあって、その上ものすごく残念なスポットになっているということはご存知だろうか?

 

滝田城址

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

千葉県のリゾート地、呼ばれることの多い南房総市、下滝田にあるのが件の滝田城址(たきだじょうし)である。

 

南総、という言葉から千葉県に住んでいる方であれば(ほぼ)誰しもが気付くはずだが、そのまんまここ南房総市下滝田が里見八犬伝発祥の地なのだ。

 

滝田城址は南房総市指定史跡とされている場所で、1533年に起きた稲村の変において、里見義豊の義弟、一色九郎が城主として拠点としていたが、義豊が滅亡した際にこの城も廃城となったと言われている。

 

南総里見八犬伝では原作の冒頭で滝田城址が登場し、歴史上では実在したか否か疑問視されている里見義実が城主として描かれている。

 

数年前現地を訪れた際には朱に彩られた展望台と伏姫(ふせひめ)、八房(やつふさ)のブロンズ像が置かれていて、秘境感抜群ながら心落ち着かせることが出来る場所、と感じまた再訪することにした。

 

が、現実は、そう甘くは無いのである。

 

思わず秘境と言いたくなるスポット

突っ込みを入れたくなる青看板

現在地は千葉県道88号線。

 

左手に広域農道が続くT字路だ。

 

上部に目をやるとデカイ青看板には「×0.7Km先」「工事中」という奇妙な案内がなされている。

 

この時点で既に秘境臭しか漂っていないのだが、まだ序の口なのだ。

 

暗沌とした内部を秘めた隧道は西之谷(にしのやつ)トンネル。

 

よくよく左上に施されたモザイクタイルを眺めてみると、女性が犬に乗っているように見える。

 

この2名こそ南総里見八犬伝の冒頭に出てくる伏姫と八房なのだ。

 

割りとあちこちでシンボル的な扱いをされているし、仲睦まじいように思えるが、何を隠そう後にストーリーの主人格となる八犬士達はこの伏姫と八房が(パカパカパカハカ)で、(ヒヒィーン)てきたのである。え?馬の足音やら鳴き声で何書いてるか分からないって?ならGoogle先生に「生物繁栄の根本原則」でも聞いてみて下さい。

 

抜けてきた西之谷トンネル。

 

およそ光景だけ見ると不気味の谷と呼ぶに相応しいが、周辺には集落や田畑が点在していてさほどの薄暗さは感じない。

 

ルートとしては上の写真手前が十字路になっておて、右側が滝田城址に向かう駐車場方面だ。

 

道なりに進んで行き、1車線の細道を通る。

 

林道ですね、分かります。

 

もう周辺の雰囲気から完全に「観光地」というカテゴライズから外されており、不知火が「ジャンル:秘境」にしていることに皆、首肯してもらえるに違いない。

 

ガードレールが途切れ、代わりに細い金属製の柵に切り替わった。

 

ん?前方に不知火の相棒TTばりに場違いな・・・じゃなくて気になる車種が1台いるな。

 

そう、以前秘境捕獲物語の記事にも出てきた、フォロワーさんのFT86である。「平成最後の房総林道ドライブ」に参加して下さり、大山祇神社に引き続き、同行して頂いた。

 

先程まで不知火が先行していたが、駐車場の入り方を忘れて迷い、ポジションチェンジしている。

 

↑は不知火が代車ネイキッドのときに撮らせて頂いた86の写真なので、タイミングは異なるが、イメージ写真として。普段相棒TTしか撮らないので、他者様の愛車を撮るのは滅多に無い試みなのだが、なかなか情緒溢れる秘境写真になったのではないかと自負している。個人的に撮影して現像した写真を喜んで貰えるというのは素直にとても嬉しいことなので、また撮ってみたいなと思ってしまうのだ。

 

 

整備だけはされた山道

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

さて、駐車場に辿り着き、ここからは徒歩になる。

 

駐車場に置かれていた案内看板からも分かるように、さっきくぐった西之谷トンネルの真上を歩く山道がルートとして指定されている。

 

あれ?数年前こんなのあったかな。

 

恐らく鹿や猪と言った動物対策だろう。触れても電流は流れないので普通の柵だ。

 

必ず施錠して下さい!」と念を押すようにして書かれた文言。

 

それほどまでに動物被害が起きて農作物を荒らされたりしたのだろうか。

 

いきなりの登り勾配。

 

九十九折れのようにカーブしながら高度を上げて行きながら道は奥へと続いている。

 

下方に目線を移動させると駐車場に停まった2台のスポーツクーペが飛び込んで来る。

 

何気にこの駐車場に入る前の段差がエグく、86の方は最低地上高が高めで楽々そうだったが、不知火の相棒TTはホイールハウスに人差し指が入らないという、シャコタンに片足を突っ込むくらい車高が低いのでドキドキしながら段切りしたのは言うまでも無い。

 

思ったより道は整備されているな。

 

駐車場までの案内が非常に残念だったことから、城址への道のりも廃遊歩道ばりにズタズタかと考えていたが、枝や落ち葉は邪魔にならないようよく掃除されていて、歩きやすい。・・・急勾配を除けば。

 

斜面を登り切ると今度は尾根のような道になる。

 

竹や樹木が両脇に敷き詰められたように並び立っていて、圧が凄い。だがここも、手入れが行き届いている為、藪を掻き分けて進むようなシチュエーションは発生しない。

 

まあそれくらいのイベントがある方がヒモノ(秘境捕獲物語)的には濃ゆくてテンションが上がるのだが。

 

更に進むと、遊歩道の両隅に瑞々しい草が生えている状態になった。

 

鬱蒼として薄暗く、先が見えない状態はなかなかに雰囲気が出てきていて、まさに「何かありそう」と言った期待を持たせてくれる。

 

さて、お立ち会い。10分程度の短い山道コースも終わりを告げ、いよいよ味のある展望台があるポイントに辿り着くことになるぞ・・・!

 

裏切られた期待

展望台の場所に到達。

 

ここが滝田城址と言われる場所の中で、最も見処があると感じるスポットだ。

 

古びていながら一際目を引く、鮮紅なる展望台と、傍ら控えめに居座るブロンズ像、伏姫と八房。

 

・・・なのだが、実は上の写真は2016年3月に訪れた際のもので、過去の回想だ。

 

では、現実に目を向け、今回不知火とフォロワーさんが行ったときの光景をご覧頂こう。

 

ん?・・・・・え?・・・はい?

 

展望台が、消失していた。


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城址広場の現状

哀れ儚き夢の跡

OpenStreetMap and contributors CC-BY-SA

・・・・・あれだ、きっとあれだ、きっと不知火は仕事で疲れているのよ。

 

だから展望台が消失した光景なんて、有り得ないはずのことが目に映ってしまうんだわ、間違い無いですわ。

 

と、いうことで、二度目の正直。もう一度、改めて目を見開いて展望台がある光景を網膜に焼き付けようじゃないか・・・・・。

 

サ〇ヴァ〇ッチッッッ!!!!!

 

ダメだ、夢を見ていた訳では無く、最初から偽り無い現実を見ていたようだったorz

 

無念としか言い様の無いビューに暫し打ちひしがれ、更には同行者のフォロワーさんから向けられる「展望台無いじゃんw」というトドメを刺すような視線でHP(ヒットポイント)がゼロになる不知火。許してくれ、流石にこの状況は予測出来なかったよ・・・。

 

申し訳程度に残された石垣。その上に設置された看板がこれだ。

 

注意 石垣に登る際はお気を付け下さい。」と書かれている。

 

・・・石垣に登るだけで一体全体何を気を付けるというのか?

 

その石垣から西側を展望した風景。

 

ぶっちゃけ言ってしまうと心にズキュンと響くモノが何も無い、平凡な風景。恐らく高さが足りないというのもその要因に至る1つだとは思うのだが。

 

↑は展望台がまだ存命であった頃の、最上階から見渡す風景だ。

 

さほど、と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれないが、それでも石垣のみの現場からの景色とは雲泥の差と言えるだろう。

 

よもや、当時は数年後に展望台が跡形も無く撤去されてしまうなんてことは毛程も考えていなかったので、もっと沢山写真を撮っておけば良かったとも思う。・・・そんなこと誰も予想出来ないことではあるのだがな。

 

ま、まあ気を取り直して唯一まともに残る銅像へと目を向けてみよう。

 

下に恐ろしくもある?伏姫八房像

・・・・・。

 

なんというか、怖いんだけど。

 

ストロボを焚いて撮影していることもあるだろうが、色褪せつつも輝きが残る2御仁の像不気味さを助長しているようにも感じる。

 

別アングルより銅像を撮影してみる。

 

・・・うん、やっぱり怖いよね。

 

八房の方は別段恐怖と言った訳でも無いが、問題は伏姫だ。

 

顔は黄金色で、やや微笑みを浮かべており、もはや不気味の谷でしか無い。

 

昼間ならまだしも、太陽が傾く薄暮の時間帯に現場を訪れようものなら、完全に卒倒するレベルであり、脳裏にトラウマを刻み込まれることだろう。かくいう不知火も、数年前単独で訪れた際は、夕方で薄暗い中この銅像を目にしてしまい、例えようの無い恐怖を感じたことを覚えている・・・。

 

八犬士を表す物

銅像が安置されている周りには簡易的な柵があり、そこには銀色を発する鉄球が数個転がっていた。

 

南総里見八犬伝をご存知の方ならすぐにピンと来ると思う。

 

そう、数珠である。

 

これは物語の主人公達、八犬士がそれぞれに持っていたという珠で、その一つ一つに「仁」・「義」・「礼」・「智」・「忠」・「信」・「孝」・「悌」という異なる文字が書かれていたのだという。

 

少し、本編について解説しておこう。八犬伝自体は凄まじく長い物語なので、舞台である南総が出て来る発端だけ纏めておく(それでもかなり長い)。

1441年に結城合戦にて敗れ、安房へ敗走した里見義実(さとみよしざね)。義実は元々の滝田城主であった神余光弘(じんよみつひろ)を手に掛けた山下定包(やましたさだかね)の討伐を考えていた。そこで光弘の臣下だった金碗八郎(かなまりはちろう)に声を掛け、共に定包を討ち倒すことに成功。その際定包の妻であった玉梓(たまずさ)を助けると義実は初めのうちは口にする。しかし、八郎に言われた言葉が元になり、一転して玉梓を見捨てる。玉梓は最期の時、「里見の子孫達を畜生の道へと落として、煩悩の獣にしてやるっ・・・!!!」という呪いに満ちた言葉を唱えながら、極刑に処された。

 

その後1457年、安西景連(あんざいかげつら)は里見領の飢饉に合わせて攻め入って来る。滝田城主であった義実は、飼い犬であった八房に「八房、もしもお前が景連を討ち取ったら、ご褒美に娘の伏姫をあげるぞ」と冗談交じりに口にする。だが八房は敵陣目掛けて単身飛び込み、見事に景連の討伐に成功、「証」を滝田城に持ち帰って来た。そのことが功を奏し、里見軍は安西軍を破ることに成功したのだ。義実は山海珍味や係の役人を八房に与えるのだが、八房は当初の約束だった「伏姫」にしか関心を示さない。ついに八房は隙を見て伏姫の寝室に乱入、これに怒った義実だったが、逆に伏姫が「父上、城主であるあなた様が一度口にした約束を違えるのはいかがなものでしょう?犬相手だからと言って反故にするのは感心致しません」と諭し、伏姫と八房は共に安房の富山(とみさん)へ入山する。

 

富山に入ってからの伏姫は法華経を読む日々を送り、八房と関係を持つことはしなかった。しかし翌年、たまたま遭った仙童に「八房は玉梓から掛けられた呪詛を負っていて、法華経の力で呪詛は消えたが、八房の帯びていた強烈な呪気で伏姫は八人の子の種を身に宿している」といった旨のことを告げられた。それはつまり犬の子、ということになり、耐え切れなかった伏姫は入水を試みるが、義実が伏姫奪還の為に差し向けた八郎の息子、金碗大輔(かなまりだいすけ)が八房に向けて放った銃撃は八房を仕留めるが、伏姫にも当たり負傷する。このとき義実も富山を訪れていたが、義実、大輔両名の目の前で伏姫は割腹し、身に「犬の子」がいないということを証明する。その際傷口から気が空中に漂い、仁義八行の各文字が記された八つの数珠が飛散(後に八犬士が各珠を手にすることになる)し、見届けた伏姫は安堵して息を引き取る。

 

亡くなった伏姫は「伏姫神」となって物語に度々登場し、八犬士と里見家を見守る。八房もまた伏姫神の乗騎となって登場していく。

参考元:南総里見八犬伝

・・・こんな感じだ。このブログの方向性城、表現はマイルドにしたり、言い換えたりしているので、少々分かり辛いかもしれないが。

 

ひとまず、長過ぎるあらすじを読む気が起きないという方向け「今北産業」でまとめると

呪いを受けた八房が

伏姫と富山へ入り

伏姫が自刃し生まれたのが数珠

ものすごーくざっくりまとめた三行だ。

 

壮大なスケールを誇る江戸時代の超大作、南総里見八犬伝。その物語はここ房総の地、滝田にて全ては始まったのである。

 

終わりに

観光地と呼ぶには圧倒的にパワーが不足し、加えてかつて一番の見処と言えた展望台までが撤去され、もはや息も絶え絶えな滝田城址。

 

ハッキリ言ってしまえば、わざわざ訪れる価値は低いと言え、南総里見八犬伝が好きでなければ無理して行くことも無い。

 

無論、展望台が復活するようなことがあれば一気にスポット評価が上がり、多くは無いがそこそこ人々が集う場所に成り得るのではなかろうか?

 

願わくば、滝田城址にかつて設置されていた朱に彩られる展望台が復活することを祈るばかりである。


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