2018年で千葉に来てからかれこれ丸6年が経つ。これを機に、僕が秘境に目覚めたきっかけについて語ろうと思う。
それはふとしたことだった
遡ること4年前、その日の僕は鴨川松島へ向かう予定だった。
ドラレコハイライトにも書いたが、それまで千葉県という場所にこれと言った魅力を感じず、まともにドライブをしたことが無かった。
車を買ってすぐ本屋で購入した千葉のドライブ雑誌は本棚に仕舞われたままて、埃を被っていた。
大した考えもなく、ドライブ雑誌を取り出し、眺めていた時、「鴨川松島」という場所を見つけた。松島と言えば宮城県にある日本三景の一つである。
その名を冠した場所が千葉県にもあるという。ちなみに「○○松島」と名付けられたスポットは日本各地にある。
鴨川松島はとても美しいところだ。千葉と言うよりはハワイのように綺麗な海の色である。詳細なレポートは鴨川松島の記事を参照して頂きたい。
そして来るべき2014年12月9日、鴨川松島へのドライブを決行する。夜勤を含むシフト勤務だった僕は、昼間寝て夜中に起きて昼間まで起きているのには慣れていたので、夜中の2時に起き、支度を済ませ、近所のガソリンスタンドで洗車をしたのち、目的地を目指した。
この日が房総半島始めてのドライブのようなものである。当然道など分からず、カーナビに頼るしかない。
「鴨川松島」と入力し、おおよそのルートを確認・・・・・したのだが、何故かルートの途中に×印が付いている。
これって、もしかしなくても通行止?
僕の相棒TTに付いていたカーナビはクラリオン。はっきり言ってあまり性能は良くなく、危うく道を逆走させられそうになったり、案内通りに進んだはずなのに「間違っている」とリルートされ、それに従ったのに、「やっぱりさっきので良かった☆」などとのたまうのだ。電波状態などもあると思うが・・・・。
そのクラリオン、当然通行止の迂回計算などしてくれるはずもなく、まんま×印道路をぶっちぎっていた。
ひとまず現地の状況を確認してみないことには始まらない。とりあえず行ってみることにしよう。
国道14号線、国道357号線、国道297号線と進み、千葉県道81号市原天津小湊線に入る。
81号は文字通り市原市を起点として天津小湊町(現鴨川市)まで通じる背骨とも言える県道である。
途中千葉県で国道410号線と並び、数少ない「酷道」と称される国道465号線との重複区間を経て鴨川へと続く黄和田畑地区へ向かう。
そして問題の×印地点へと到着した・・・・
それがこの有り様である。いや、まあ察してはいたのだが(笑)
場所は硫黄泉に入れることで知られ、秘湯と言われる七理川温泉すぐ先。
原因は黄和田畑地区での法面崩落のようである。どうにもこうにもこれでは抜けられないし、鴨川松島へ日の出前には到着したいと思っていたので、困った。
はて、どうしたらいいか。今でこそこの辺りの抜け道はおおよそ頭に入っている為、町道老津線を始めとした抜け道はナビを見なくてもパッと思い付くが、当時房総半島初心者だった僕にはナビを懸命に見て考えるしかなかった。
ひとまず戻って国道465を東に進み、県道178号線から県道82号線を経由して国道128号線に出れば行けると分かったので、やけくそで鴨川へ向かう。何とか日の出に間に合いはしたが、ギリチョンだった(笑)
で、通行止の北側を見たとき、何故か分からないが、反対側の通行止も見てみたいと思ったのだ。
南側はどうなっているんだろう?どんな道なんだろう?
気がついた時には81号を鴨川側から北上していたのである。
AWAKE
これが南側。見事にトンネル前に高さ2m程のバリケードが設置されている。
そして、ついに僕の中に眠っていた「探索魂」が目覚めた・・・・・・。
行ってみたくてしょうがない・・・・!
元々僕は小さい頃から実験や探索大好き人間で、
モータと導線を繋いで家のコンセントに挿してまばゆいばかりの閃光と信じられない程の回転数でモータが回転してぶっ壊したり
仏壇にあった蝋燭を砕いて蝋を容器に入れ、部屋のヒータに置いて新たに蝋燭を作って母親にシコタマ怒られたり
いらない携帯電話の充電器を分解したらコンデンサに電気が残っていて感電したり
と、ネタを挙げたら枚挙に暇がない。
他にも中学校の裏山にあった蜂の巣を木の枝でぶっ叩いたら雀蜂が10匹程出てきて、体育でも出したことのないようなタイムで200m全力疾走したこともあったな(笑)
まあ簡潔に書くとバカである。昔から自分の目で確かめないと気が済まない質なのだ。
ということで、通行止先へ乗り込むことを決意する。
実行したのは同年12月23日。この日は房総半島をもっと知る為計画した、「2泊3日房総半島1周ドライブ」2日目だった。
自宅のある千葉市から出発し、西へ進み浦安で北上、千葉最北端野田の関宿博物館で東へ、千葉最東端銚子で1泊、九十九里から御宿、勝浦と移動し、鴨川で1泊、最終日は千葉最南端白浜の野島崎灯台、館山、鋸南、富津、木更津と周り帰宅したドライブだ。
出来るだけ忠実に海岸線と県境を辿り、千葉県を回ると何キロなのか確かめたところ、おおよそ620キロ程だった。途中少々寄り道したが、大体それくらいである。
・・・話が脇道に逸れてしまった。兎に角、その2日目に81号通行止区間探索を日程に組み込み、現場を見てみることにした。
ディープインパクト
早速入口に立つ。立て看板にも書かれているように札郷トンネル入り口の一番上、扁額のすぐ下に雀蜂の巣がある。周囲に蜂は見当たらず、蜂は既に廃巣となっているようであった。
札郷トンネルを抜け、最初に現れたのがこの下り勾配の斜面。通行止となっていたこの時、前後2キロ区間はバリケードで阻まれ、当然ながら一般車両が通行するのは不可能だ。
法面には幾箇所にも防護ネットが張られ、石が道路上に落下することを防いでいる。この時も写真のように塊がネットで堰き止められており、如何にこの県道が危険か教えてくれる。ほぼ間違いなく、千葉県No1の「険道」と言えるだろうな。
えぇ・・・せっま・・・・
通行止区間である黄和田畑トンネルから札郷トンネルの約2キロは対面通行出来る場所が限られており、山にへばりつくような形で道路を成している。故に大体が狭隘な1車線で交互通行を強いられるのである。
時々こうしたセンターラインのある2車線道路も混在するのだが、それもほんの一時。またすぐ見通しの悪い1車線に戻ってしまうのだ。
小並感な感想で恐縮だが、当時はそう素直に感じた。
既に崩落から半年が経過していて、復旧工事も後半に入っていたが、防護ネットと金属の構造物で法面一体が覆われていたことからかなり大規模に崩落していたと分かる。
「落石注意」と書かれた看板がやけに生々しい。実際この黄和田畑トンネル~札郷トンネル2キロ区間は過去に何度も落石や崩落による通行止が発生しており、今回の崩落以後も3回程通行止、もしくはその爪痕を目撃している。
黄和田畑トンネルを抜け、北側のバリケードがある場所まで来た。ここが終点だ。既に日は暮れかけ、温暖な房総とはいえ12月であった為、だいぶ冷え込みがきつくなっていた。日が落ち切らない内に引き返し、相棒TTの元へと急いだ。
そして完全復旧したのは2015年3月27日。ほぼ予告通りに復旧は完了し、晴れて81号線は全線開通となった。
27日は夜勤前で、行こうと思えば81号へ向かえるが、天候は雨。どうせなら雨の降っていない日に朝から乗り込みたいと考えた。
今回通行止の原因を作った法面。半年以上の月日をかけて復旧工事された法面はよほどのことが無ければ崩落などしないと思えるくらいに固められていた。
やべぇ、秘境ロード過ぎるぜ・・・・。
開通から3日後の3月30日、日が変わるか変わらないかの内に起床し、81号へ向かい、全線走破した。何てことはないかもしれないが、僕からしてみたら、不思議な達成感があったのだ。
追原廃集落を再探索したのもこの日である。全線開通する1週間前にバリケードを乗り越え、追原へ行った。復旧工事完了が3月とは書いてあったものの、きっと先延ばしになると思っていたので強行突破に出た。まさかほぼ予定通りに完了するとは思っていなかった(笑)
そんなこんなでいつしか「秘境」というジャンルにハマってしまい、探索が趣味の一環に至るまでになったのである。
その後は廃道、廃橋、廃隧道と「廃」の世界にも魅力を感じ、仕事が休みの日は房総半島を始め、関東甲信越へ繰り出している。
これからも、まだ見ぬ秘境を求め、日本各地を巡って行きたい。
終
相棒TTと撮影したオススメスポットを地図にまとめています。
良ければ愛車と写真撮影する際の参考にして下さい。
記事内にイチオシスポットも挙げて幾つか紹介しています。
今まで訪れた秘境スポットを地図にまとめています。
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僕が行ったことのある観光地をマイマップにまとめました。
観光地についてもそれなりに行っていますので是非見てみて下さい。