観光名所として世界に名だたる富士山。
世界文化遺産としても知れ渡り、その秀麗なる山体を一目見ようと、国内外問わず毎日多くの観光客が訪れます。
ですがいざ見に行こうと富士五湖を始めとした近郊に足を運んでみても、どうにもスッキリ見えない、という経験はありませんか?
一見、見える見えないかが運のように思える富士山にも、スッキリ見える為の条件というのがあったんです。
今回は富士山が富士五湖でスッキリ霞み無く見える為の条件と、また1年で最も美しく撮影出来る月はいつなのか、ということを書きたいと思います。
天気だけで富士山が見えるか読み取るのは難しい
富士山はご存知の通り、標高3776mの独立峰で、日本で最も高い山です。
とても気流の流れが複雑で、単に天気予報が「晴れ」を示していても、現地に着くと「富士山だけ」霞みや曇りで見えない、なんてことも珍しくありません。
天気だけで富士山が見えるか見えないか判断するのは非常に難しく、幾つかの条件が絡まり合い、見える確率というのが大幅に変わってくるのです。このことを知っておけば、無闇やたら「予報が晴れ」の日に富士五湖に行く必要が無くなり、無駄無くピンポイントで訪れることが出来るようになるでしょう。
以下に、富士山が見える確率が上がる4つの条件を解説していきます。北側に位置する富士五湖から見ることを前提にして話を進めていきます。
それと、「逃げ」と捉えられてしまうかもしれませんが、あくまでこの記事で取り上げる「見える確率が上がるポイント」は、一般的に言われている富士山の見え方の関係を参考にしたりもしていますが、大部分は不知火が個人的に富士五湖へ足を運び経験したことから来る推論です。なので、「行っても見えなかった、どうしてくれるんだよ、慰謝料(そんな人居ないと思いますが)」などとクレームを入れられても、困るので予めご了承下さい。
霞み無い富士山を見る3つの条件
①朝は東、夕方は西からが良く見える
これは太陽の当たる位置に寄るものです。
「当たり前だろ」と突っ込まれそうですが、春夏秋冬を通して、太陽は東寄りから昇り、西寄りに沈んで行きます。
富士山の場合、太陽が逆光のときよりも、順光や斜光になっている状態の方が、遥かに見えやすいのです。
山梨県に位置する富士五湖を日の出の例に挙げると、山中湖は順光、河口湖と西湖は東からの斜光、精進湖は半逆光、本栖湖は逆光です。
このことからも、朝は山中湖や河口湖、昼から夕方は精進湖や本栖湖というように、見る時間帯によって東側か西側に場所を変えると良いです。
②明け方にかけて強い雨が降るとスッキリ見えやすい
例えば前日から明け方にかけて強い雨が降り、その後晴れの予報である場合、霞み無くよく見える日が多いです。
上の写真を撮影した日は2015年5月5日なのですが、夜中から明け方までは台風かと、と思うくらい突風と大雨で「今日は絶対富士山見えないだろう」と思ってました。しかし、日が昇るに連れ、それまでの天気が嘘のように回復、雲一つ無いピーカンの中、富士山はクッキリと姿を見せてくれました。
恐らく、強い雨の後の晴れで富士山がクッキリ見えるのは、花粉の飛散が抑えられているからでは無いかと考えられます。
花粉というのは、晴れの日に飛びやすく、雨の日には殆ど飛びません。花粉を飛ばす元となる樹木も、雨の日は花粉が遠くまで飛ばないことを理解しているらしく、抑制するからです。
当然晴れてから時間が経つに連れて飛散量が急激に増えますので、雨が止んで晴れてから早朝が絶好の撮影チャンスと考えて下さい。
③北寄りの風が吹く日が狙い目
風向きはかなり重要な要素と言えます。
一般的に南風よりも、北風は乾燥した空気であり、雲や霧も南側に動く為、富士山周辺で北風が吹いている場合、富士五湖から良く見えやすくなるのです。
北寄り、と書きましたが、天気予報で風向きが「北」で無くとも大丈夫です。あくまで「寄り」なので「西北西」や「北東」なんかでもかなりの確率で富士山が見えます。
お得な2つの豆知識
①湿度はあまり関係無い
湿度と富士山の見えやすさの関係は正直難しいです。
上の③で書いたように、北側から吹く風は乾燥していて富士山が見えやすいのですが、周辺に立ち込める湿度が低ければ見えやすいかというとそうでもありません。
現に、湿度の低い冬でも見えない日はありますし、逆に梅雨の時期でも見える日はあります。
予報で湿度が70~80%のようにやたら高くても、上の3つの条件を押さえておいた方が良いです。
②日の出で湖畔に霧が出ても見える日はある
それともし、日の出と同時に湖畔に霧が立ち込めてきたとしましょう。
普通なら「ダメだ、今日はもう見えない」と諦めてしまいそうになりますが、諦めるのはまだ早いです。
日の出で湖畔周辺の水温が上昇し、水蒸気となって霧になります。時間が経ち、太陽の南中高度が上がってくると、自然と霧は太陽光線で消えることがあります。
この写真を撮影した日の明け方は、まさに湖畔が霧でムンムンでした。ですが日が高くなってきて、霧が弱まり富士山が見えシャッターを切りました。スッキリとした富士山ではありませんが、雲と霞みの中から顔を覗かせる富士山が逆にフォトジェニックで良いと感じています。
確実性がある訳ではありませんが、覚えておくと良いかもしれません。
最も美しい富士山写真を撮るなら5月上旬~中旬がベスト
では富士山が最も美しく撮れる月は何月なのかと聞かれたら、不知火は5月と答えます。
5月は、4月の「春霞み」によって富士山が見えにくくなる現象や6月の「梅雨」の影響がまず無く、不思議とスッキリした富士山を拝みやすい月でもあります。
加えて大きな理由としては、何と言っても新緑が目覚ましい時期だからです。
草木が冬の眠りから覚め、若葉色の新鮮な新芽が成長していきます。晴天の下、青々とした富士山の山体と草木とのコントラストは本当に素敵です。
同時に富士山の冠雪した部分も溶け始めますが、しっかり冠雪した冬よりもむしろ、溶けかけた時期の方が様になると考えています。新緑の時期の雪解けは、4月までとは比べ物にならないくらい一気に進んでしまうので、5月下旬から6月にかけてでかなり溶けます。
気温が上がり新緑が増してくると、冠雪は溶けて減る、まさに二律背反というやつですね。
ただ、新緑の具合はその年に寄って変わって来ますので、早くなったり遅くなったりでマチマチです。富士五湖で新緑に囲まれた富士山を撮影したい場合は、「河口湖」「精進湖」というようにSNSなどで検索して、最新の状況をチェックすると良いですね。僕も桜や紅葉の具合を知る為によく利用しています。
経験上では、大体5月上旬頃から青葉が茂り始め、中旬~下旬になる頃には「麗しき緑のヴェール」で富士山周辺が彩られていました。あくまで大体、です。
もしも富士山の撮影スポットを知りたい方は、以下撮影スポット紹介記事を参考にして下さい。
終わりに
富士山は結構気まぐれな存在で、なかなか来訪者の期待に応えてくれない、なんてこともしばしばですが、今回ご紹介したポイントを押さえてから出掛けるだけでも、かなり見える確率が変わってくるはずです。
是非心に残る、絶景富士山の写真をカメラに納めてみて下さい。
終
相棒TTと撮影したオススメスポットを地図にまとめています。
良ければ愛車と写真撮影する際の参考にして下さい。
記事内にイチオシスポットも挙げて幾つか紹介しています。
今まで訪れた秘境スポットを地図にまとめています。
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僕が行ったことのある観光地をマイマップにまとめました。
観光地についてもそれなりに行っていますので是非見てみて下さい。