探検が好きな方ならロマンを感じずにはいられないアツいキーワード、素堀隧道。
どこまでもどこまでも、長く長く続く、そんな素敵な隧道が新潟県にあるのをご存じだろうか?
奥只見シルバーライン
正式名称、新潟県道50号小出奥只見線。魚沼市本町を起点として魚沼市湯之谷までを路線とする一般県道である。総延長32.4キロのうち約6割を占める19キロは隧道となっており、奥只見シルバーラインの愛称で呼ばれている。
シルバーラインの最後には奥只見ダムが控えており、ダム湖の奥只見湖は国内第3位という茫漠な貯水量を持つ奥只見湖がある。
かつては奥只見ダムを建設する為に切り開かれた県道で、大型ダンプが資材の運搬で往来していた。その後公道として一般車が通行出来るようになり、今では観光道路としても重宝される道路となった。
シルバーラインの南側には樹海ラインで知られる国道352号線が並走しており、一般的に「難所」として知られる枝折峠を通らずシルバーラインを通ることで、バイパス的な役割も担っているのだ。個人的に枝折峠はさほど難所と感じなかったが・・・。
ひとやすみ
さて、今回の奥只見シルバーライン、樹海ラインを走っていると、随所に看板が置いてあり、嫌でも目に留まる。当初シルバーラインに行く予定は無かったのだが、たまたま以前見たドライブ雑誌に載っていたことを思い出し、樹海ラインの休憩場所として立ち寄ることにしたのだ。
物語としては樹海ライン②からの続きである。気になる方はそちらもお読み頂ければ幸いだ。
まずは銀山平にあるT字路を左折。
如何にも怪しげな雰囲気の漂う入口だな、おい・・・。
まさかの坑口2段構え。というか、さっきのと差があり過ぎる。
T字交差点。奥只見ダムを目指すので、勿論右折だ。
常識外れのハイレベル隧道
気分はまるで探検隊
おおおおっ!!!
こりゃすげぇ!!ただの隧道群かと思ったが、なんて迫力なんだ!思ったより楽しめそうだぜ!?
隧道内は天井に電灯が設置されており、元々大型車が通っていたこともあって道幅は広い。
基本的に道もほぼ真っ直ぐだが、所々カーブとなっている箇所が存在する。そんな場所にはきちんと電球が矢印の形になって曲がる方向を指し示してくれている。
こんな具合だ。ライトを点灯させて走行してるし、余程寝惚けながらでも無い限り、曲がり損ねて壁にドカンは無いだろうが、こういった親切設計はドライバーにとって有難いと言える。
やけに明るいと思ったらこういうことか。スリットが設けられていて、外界の光が差し込んでいた。正直役目は分からないが、隧道と隧道とを繋ぐ為の連結部分だったのではなかろうか。
コンクリートと素堀が交互に現れる感じで、壁面からは湧水が染み出して来ている。路面がベチャベチャに濡れているのもこの為である。
加えて坑内の気温は外界と比較して著しく低く、この日TTの気温計で外は31℃と出ていたが、隧道内はなんと14℃。実に20℃近い気温差があるのだ。北海道育ちの僕からしたらタンクトップでも丁度良いと感じる気温で、程好く涼むことが出来る。
未曾有の衝撃
シルバーラインで僕が衝撃を受けた看板をご紹介しよう。暗さと車速でぶれて見辛いが、ここに設置されている看板は・・・・・
「濃霧注意」
・・・・・・・は!?霧だと!?
異質極まり無いとはこのことだ。峠道ではもはや顔馴染みの看板で、幾度共現れ実際に視界5mと無い、霧幻地帯を体験してきた。しかし、ここは隧道。こんな場所でよもや霧に注意するシーンに巡り会うとは夢想だにしなかったのは言うまでもない。なんとまあ、ギミック盛り沢山の長大トンネルである。
避難所
しばらく進むと明かりが見えてきたので、一瞬出口かと錯覚したが、よくよく見るとそのすぐ後はまた暗くなっている。
そう、緊急時の避難所だ。有事の際に待避する為に設けられた隧道内からの脱出口である。とはいえ、各隧道は何本かに分けられてはいるものの、1本の長さが半端無いので、果たしてここまで徒歩で辿り着けるかは甚だ疑問であるが・・・・。
自ら秘境を名乗るダム
シルバーラインに入ってから1時間程運転していたんじゃないかってくらいずっと隧道を走ってきたようにも思えるが、実際は10分程度しか時間が経っていない(笑)それくらいこの県道は隧道が長く、ドライバーに長い時間運転しているかのように錯覚させてしまう感じがした。しかし、それもようやく終わりを迎える時が来た。遥か彼方に一筋の眩い光が分かる。
で、出口だ!今度こそ本当に出口である!
ふう、やっぱりシャバの空気は旨いぜ!ダムのある地点に到着した。奥只見シルバーラインもこれで終点。せっかくだし、ダム堤体を拝んでおくとしよう。
あーやっぱりドライ路面は走りやすい。如何に普段走っている乾いたアスファルトが車にもドライバーにとっても有難い存在なのか実感させられる。
ダム堤体が見えて来た。
だだっ広い駐車場に車を停め、しばらく休憩を取る。
「秘境奥只見」
湖畔に掲げられていた看板が上の写真だ。このダムは自ら秘境と名乗るのか(笑)実際奥只見ダムに到達するにはあのくっそ長い隧道群を抜けてくるしか方法が無く、まさに秘境と呼ぶに足る存在と言えるだろう。
スケールの違い
鋭気も養えたことだし、樹海ラインへ戻ろう。
さらばだ、奥只見ダム。別れを告げ、トンネル群の坑口を潜る。
その途中、道路の脇に造られた待避所で撮った一枚。
点々と続くナトリウムランプ、濡れた路面、コンクリートと素掘に支配された壁面・・・。
出口すら見えないあまりにも長大な隧道に、スケールの違いを思い知らされる。
まるでこのまま異空間へと繋がっているのでは無いかと考えてしまう程だ。
掘削当初、それは大変な難工事であったに違いない。
脅しじゃなかった注意看板
そういえばさっき、「濃霧注意」の看板を見かけたが、今のところ霧がかかった場所はお見受けしていない。ふーむ、やはりただのハッタリだったのか?・・・と思いきや、
マジだった。脅しでも何でも無く、本当に隧道内に霧が立ち込めていたのである。濃霧という程では無いが、先を照らすヘッドライトの光線が拡散せず、レーザービームのように細く真っ直ぐな線となっていることが分かる。視界もうっすら霞み、正真正銘僕は今霧がかかった隧道を走行していることを実感した。まさか本当に隧道で霧を体験するとは・・・な。
樹海ライン復帰
一番最初にシルバーラインに入った、T字交差点まで戻ってきた。
何だかよく分からないが、出口の光である。
ブワッ!!
ギャー真っ白で何も見えん!!!
フロントガラスが一瞬で結露した。先程も書いたがシルバーライン内の気温は14℃だったのに対して、外界は31℃。低温になった車内外と高温の外界とで急激な温度差が生じ、雲ってしまったのだ。このままでは危険極まり無いのでウォッシャー液で曇ったガラスを洗う。
川に架かる橋を渡り、樹海ラインと交わる交差点だ。
行先は当然尾瀬のある左。
そして物語は樹海ライン③へと繋がっていく・・・。
どうか是非、前半とかけ離れたキツ過ぎる後半戦、樹海ライン③からもお読み頂きたい。
奥只見シルバーライン、今までに通ったどの隧道とも異なり、異様で独特の空間を演出する。その奇怪な光景に、訪れればきっと言葉に出来ない驚嘆を味わうことになるだろう。
終
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良ければ愛車と写真撮影する際の参考にして下さい。
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観光地についてもそれなりに行っていますので是非見てみて下さい。